暗殺１１日目 ページ11
「聖さんのお父さんってどんな感じ？」
赤羽の問いに私は少し頭を悩ませる。父が死んだのは小学2年生の時でそんなに覚えていない。写真はあるがやたらめったら見るものでもないし最近は父の写真を見ることもなかったので何とも言えない。
「よく言われるのは髪が似てる、って言われる。」
「父も地毛で金髪なの」と言うと赤羽は「へぇそれ地毛だったんだ」と呟く。私からすれば赤羽の方が地毛なのかどうか聞きたいが。
私の髪色はバターブロンドと言われる種類の金髪だ。父の金髪は“金”と凄い強調している色だった。写真がそうだったし周りにいる奴らもそう言っている。
金髪は完全に父親譲りだ。母親は黒髪だったなぁからそうに違いない、と言うかそれ以外あり得ない。
「他には……喧嘩が強い所とか？よく皆からは殴り方とかそっくりって言われる。父が人を殴った所なんて見たことないから知らないけど」
「へぇ」
「逆に喋り方は似てないって言われる。父は大阪弁みたいな…京都弁みたいな…中途半端な喋り方してるって聞いたことあるし」
「私はそんな喋り方してないからね」と言うと確かに聖さんには似てないね、と言われた。面と向かってそう言われるとなんか無性にイラつくのは人間の深層心理なのだろうか。今私の気持ちは赤羽を蹴飛ばしたい、だ。
「顔立ちとか攸聖そっくりだよ、聖ちゃんは」
「橘さん……」
橘さんとは父の大親友の人だ。時々私を見に来てくれる優しい人だ。
「聖ちゃんを見てると時々攸聖を見てるみたいでびっくりするときがあるんだ、おじさんになってくるとね」
おじさん、と本人は言っているが実際年齢は38歳だ。そんなにおじさん、と言う年齢でもないような気がする。ちなみに父も生きていれば38だ。
「そうだ、もうすぐ修学旅行何だって？
「ありがとうございます」
「それじゃまた今度ね」
手を振って帰っていく橘さん。本当に橘さんには頭が上がらない｡
「娜月って？」
「見れば分かる」
私がそう言うと同時にドアは開かれる。そして足に多少の痛みが伴った。誰か小さい子供に抱きつかれている感覚がする。
「お帰り、娜月」
「聖に友達いたんだね」
「帰って開口一番それか」
ぺしっと頭にチョップする私。私は娜月に「挨拶をしろ」と言う。すると娜月は私の足にしがみつくのを止め自己紹介をし始めた。
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