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▽第二十五話 ページ3

壊れてしまった世界はもう存在できやしない。私の目の前で一人絶望したかのように凛が地面にうずくまっている。
迅さんはこのことを本部に伝えなければといって去っていった。あとは、私の言葉による。

「早く行きなよ、凛。紅葉がお前を待っている。お前ならわかるんじゃないかな、今の紅葉の状態を。立てよ、凛。殺気出しまくりのあの時を思い出しな、お前にはまだ使命があるでしょ? 心が壊れかけた紅葉を助けに行け、お前しかいないんだ」

「……君に助言されるなんて、僕も成り下がってしまったけェね……」

そう悪態をつきながらも、凛はゆっくりと立ち上がった。もうこれ以上私と会話などしたくない、とでも言いたげに私を追い越して紅葉がいるだろう場所へ走り去る。
さて、と私は後ろを見た。
本来ならばもう大規模侵攻は終わっている。だが、迅さんがヒュースの相手をしなかったり、未来予知の結果を常時発信できなかったりと、様々なずれが生じている。

結果的に、大規模侵攻は長引いている。
私は空閑君に飛び上がって迫るヴィザ翁を一瞥すると、ふ、と笑って凛の向かった方へ走った。

私も見にいかなきゃいけないんだよね。
___先輩であり仲間だった人の、ハッピーエンドってやつをさ。

♦♢♦♢

「紅葉」

「凛!!」

うんうん、運命の出会いみたいでいいね……。私が駆けつけると既にこの場面だったが、もう少し前の場面も見たかった。
ただ、二人が名前を呼び合っている際に、日向さんが塵となり消えてしまった。

「何かの仕掛け? それとも何かのずれ? わざと? ___何が起きてる?」

ワザとの可能性を信じたいが、今の状態、何が起きたって不思議じゃない。
とりあえず私は現状を見ていることにした。とりあえず一応、一度は日向さんと合流できたわけだし___。

『留理ちゃん!

 ___逃げないと、死ぬぞ!』

通信機から、サイドエフェクトを使ったのか迅さんの悲痛な声が響いてきた。私の体が反射的に飛びのいて逃げるために走ったのと、先程まで私がいたところが大きくえぐれたのは同時だった。

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蒼也 - 感動しました。すごく良かっです! (2020年6月20日 23時) (レス) id: ea89e2c5ba (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:フ瑠ラン&ぐらにゅー糖 x他1人 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2018年4月22日 18時

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