瑠璃色、揺れる【Satoshi.O】 (ページ9)

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◆09◆ ページ9

「だから、ってわけじゃないけど。俺は智くんとAの力になりたいんだよ」

「今でも十分助けられてるよ」

「このままだと2人がいつか、」

「幸せなの今でも十分」

被せるように返事をした。

沈黙が2人の間を包む。

この話をするといつもこうなる。

「・・・心配かけてごめんね、でも本当に幸せなの。それにほら、私まだ若いから！」

笑って見せたけど、翔ちゃんは未だに浮かない顔をしている。

翔ちゃんは昔から、私と智の関係に対する信頼がない。

なにかあればすぐに飛んでくる。

翔ちゃんは小さい頃から十分心配性だったけど

私が小学校に入ったのと同時に、私をおばあちゃんの家に預けて両親が2人とも海外へ行ってしまったことが

翔ちゃんの心配性にさらに拍車をかけたみたい。

「何かあればすぐ言うんだぞ」

「うん。ありがとう」

ただ、私が住んでいたおばあちゃんの家には、いつも智がいたから

翔ちゃんはそっと後ろから見守ってくれるお兄ちゃんのような存在だった。

だから、その頃からいままでずっと、智は家族よりも近くにいてくれた人で

おばあちゃんが亡くなってからはもう、私は智だけになってしまって

智だけが全てになってしまって

翔ちゃんはそのことを心配しているんだとわかってはいるんだけど、

私は気づいてないふりをし続けている。