瑠璃色、揺れる【Satoshi.O】 (ページ8)

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「翔ちゃん」

「おお、A」

だだっ広い大学の食堂

ここらへんにいる、っていうのはLINEが来てて

少しキョロキョロして、見覚えのある背中を見つける。

「今日この後どうするの？」

「ちょっと図書館行ってそのまま仕事行く」

「ふーん」

翔ちゃんはいつみても、唐揚げ定食を食べている。

食堂の唐揚げは真っ黒で、だけどそれは焦げてるわけではなく、一口かじると中から溢れんばかりの肉汁が・・・

って熱弁するものだから、唐揚げ大好き相葉雅紀という男が食べたい食べたい食べたい！！と騒いでいたのを思い出す。

「Aは？」

「家帰る」

「どっちの？」

相葉ちゃん、久しく会ってないな・・・

この前はアメリカでライオンに襲われてた。

その前はカンガルーとボクシング・・・

相葉ちゃん、なんであんなに体張る仕事が多いんだろう。

「聞いてる？」

「あ、うん。ちゃんと自分ちだよ」

「ちゃんとね(笑) もう同棲すりゃいいのに」

「同じマンションってまずくない？」

「週3で通うのも結構まずいと思うけど」

和也も、潤くんも元気かな

潤くんはこまめに連絡くれるけど、和也は生きてるのかな

おれはアメリカの友達とネットを介してなんちゃらかんちゃら！ってまだ言ってるのかな

「・・・だれ情報」

「みっちゃんの愚痴のはけ口だからね俺」

「情報漏洩」

みんなに会いたいな・・・

毎日会っていたあの頃が何十年も昔のことに思える。

「無理しすぎ」

「してないよ」

「してるよ、どれだけ終わるのが遅くても会いに行くって言って聞かないって」

翔ちゃんが少し怒ったようにキュッと眉を顰めた。

「俺とユリのことを黙認してもらってることが、Aと智くんの関係を隠す羽目になった原因になってることは本当に申し訳ないと思ってる」

「・・・それはもういいって」

ユリ、というのは私の子役時代からのたった1人の親友で、

高校からの、翔ちゃんの彼女。

翔ちゃんもユリも、熱愛報道を一切否定せず、肯定はしてないがほぼ認めているようなもので

私と智とは違って、2人はファン公認のカップルだと言われている。

きっと2人が結婚しても、祝杯の声で溢れるだけだろう。

私たちと彼らの、違いはなんなのだろうか。