瑠璃色、揺れる【Satoshi.O】 (ページ37)

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「事務所には勝手なことはするなってきつく言われてたの

事務所同士で話し合って、口裏合わせてコメントするから、それまで待てって」

翔ちゃんはデビュー前から先輩グループでバックダンサーをしていたり、かなりの人気があった。

ユリも歌手デビューして、1stシングルが大ヒットしている最中だったこともあり

テレビをつけると、芸能ニュースのコーナーは2人の話で持ちきりだった。

「でもまさかその次の週に、Aと大ちゃんの記事がでるなんて思わなくて・・・」

そしてその次の週、週刊誌の出版社の策略通り

私と智の記事が出て

それは火に油を注ぐような形で、大混乱を招いた。

「Aたちの記事が出る前日、事務所からしつこく電話がかかってきて、どうせまた翔くんとのことをとやかく言われるんだろうって思ったら腹が立って、電話に出なかったの。

たぶん、事務所は勘付いてたんだと思う

私が黙ってるわけがないって・・・」

事務所も大混乱だった。

発売前日にその記事が出ることを出版社に知らされて、記事を差し止める交渉すら応じてくれなかった。

「それで次の日、テレビ局をでたところで記者に囲まれて、私コメントしちゃったの・・・」

その日、報道番組は特別コーナーを設け

私と智の報道、ユリのコメントを丁寧に解説した。

しらを切り通す私と、交際を認めたユリ

各局の報道の仕方を見て、私は風向きの変化を感じた。

「まさかこんな結果を招くなんて・・・」

表に出て自分の口で公表したユリを、世間が支援し始めた。

純愛だ、まるでドラマのようだ、と世間が拍手をした。

「本当に・・・ごめんなさい」

わたしは事務所に抗議した。

許してほしい、認めてほしい

わたしがどれだけ泣き叫んでも、事務所は首を縦に振らなかった。

初の主演映画が控えている、半年後にはドラマ。CMのイメージだってある。お前にはプロ意識がないのか？と。

それは嵐の事務所もそうだった。

1stコンサートの真っ最中の新人アイドルグループの、5人のうち2人が彼女持ちなんて考えられるか？と。

別れろ、とは言われなかった。

だけど別れる以外の選択肢は与えてくれなかった。

ただ、ただ、

私達は愛し合っているのに

この業界に入るよりずっと、ずっと、前から。

私達は一緒なのに

プロなら弁えろ

その一言で、私達の純愛は悪者になった。