◆*33*◆ ページ33
「そういば大ちゃんとなにかあったの？」
「どうして？」
「大ちゃんずっと機嫌悪いし、Aもなんだか顔色が」
ユリが私の顔を覗き込む。
女の私でもユリにここまで近づかれると、そのあまりの可愛らしさにドキドキする。
「智はあれが通常運行(笑) 私はちょっと卒論がなかなか進まなくて」
「そっかあ・・・もうそんな時期かあ。大変だよね。翔くんも最近ずっとパソコンに向かってるもん」
ユリは翔ちゃんのことを翔くんと呼ぶ。
ユリは実家暮らしで、翔ちゃんは一人暮らしだけど、ユリは翔ちゃんちに“帰る”って言うくらいだから、2人はほぼ同棲に等しい。
「また翔ちゃんに泣きついちゃうかも・・・その時はよろしくお願いします」
「どうぞどうぞ、いつでもお貸しします」
普通なら、彼氏が幼馴染の女とやけに親しいのをよく思わないだろう。
だけどユリは、嫌な顔せず、私がついつい翔ちゃんを頼ってしまうことを許してくれる。
それだけ、信頼してくれているってことなのかもしれない。
「A、いまからご飯行かない？聞いて欲しい話がいっぱいあるの」
「あ、そうだ。潤くんが美味しいテバクチキンのお店見つけたって言ってたから、久しぶりに3人でどう？」
「テバクチキン？食べたーい！」
潤くんとユリと3人で、テレビ局の地下のカフェで熱く語り合っていた高校生時代を思い出す。
ユリは私たちと高校が違うけれど、潤くんとユリは小学生の時に共演したことがあって
そこからずっと仲良しだ。
ユリが翔ちゃんと出会うきっかけも、潤くんが作ったようなもの。
潤くんは、自分のことなんてそっちのけで、いつだって他人に優しい。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 665人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：くろーばー
| 作成日時：2019年6月10日 22時
