瑠璃色、揺れる【Satoshi.O】 (ページ32)

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収録が終わって早々と帰路に着こうとみっちゃんを探していると、背後から勢いよく近づく足音に気づいた。

「A！！！」

突然肩に重さがかかって思わず背後によろめくと、ユリが心底嬉しそうに私の身体を受け止める。

「ユリ！久しぶり」

翔ちゃんの彼女で

私の子役時代からの親友、ユリだ。

「Aここで収録してたの？私隣のスタジオだったよ」

「あ、Mスタ？」

「ウン、午前中の仕事が押しちゃって入りがギリギリだったの。ほんと大変だった」

ユリは、部類的にいうと、シンガソングライターだ。

シンガソングライターといっても、

抜群のトーク力でバラエティには引っ張りだこだし

CM女王の殿堂入りだってしてる

女優の仕事はまだ来てないみたいだけど、そろそろ進出するのでは？って噂もある。

それに私とは違い、女子ウケも男子ウケも平等に良く

誰からも愛される国民的少女、らしい。

少女か・・・たしかに童顔だけど。

おまけに彼氏はあの国民的アイドルの櫻井翔だ。

世の中の女子の大半はみんな口を揃えてこう言う。

ユリちゃんになりたい、と。

「今日は嵐もMスタでてたでしょ？事務所的にオッケーなんだね」

「うん、なんかもう諦めたみたい(笑)」

ユリと楽屋に向かって歩き出す。

事務所は諦めたんじゃないよ、認めたんだよ。

そう思った。だけど言わなかった。

私が智との関係を反対されているのは、ユリのせいじゃない。

この道を選んだのは自分だ。

・・・そう、自分だ。