瑠璃色、揺れる【Satoshi.O】 (ページ21)

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結局、智は事務所から言われた内容を何も教えてくれなかった。

聞くたびにキスの雨が降ってきて、流されるがままに静かに身体を重ねた。

苦しそうに潜める眉

ガラスに触れるのように私のを頬を撫でる指

汗が伝う血管の浮いた首筋

果てる前に私の名前を呼ぶ掠れた声

筋肉質な薄い身体に抱かれるたびに、

抱きしめる腕の力強さを知るたびに、

私は、彼の中で、溺れる。

このまま、溺死することができるのなら

それはどれほど幸せなことだろう。

私は、彼と、どうすれば１つになれるのだろう。

考えれば考えるほど、自分の想いが拗れて行き、収集がつかなくなる。

だけど、最後はそんな思考も全て消え去り

彼の腕の中で、我を忘れて全てを捧げる。

その一瞬だけ、私は彼と１つになれる。

たった、その瞬間だけ。

「はあ、またマネージャーに怒られるわ」

スマホの時計を見ると、ここにきてもうすぐ1時間が経とうしていた。

そろそろ戻らないと、そう思うのに、2人とも互いの背中に回した腕を解こうとはしない

「新しいマネージャー、下沢くんだっけ？」

「うん、バカ真面目なんだよ、本当にバカ」

嵐には各個人に1人ずつと、嵐全体のマネージャーが1人いる。

智のマネージャーは、いまの下沢くんで3人目で、今回は大ハズレらしい。

「でも見て、バカだから、言ったことには忠実」

そういって車のサイドポケットから取り出したのは、タオルとティッシュと・・・大切なアレ。

「万一のために車に常備しとけって言ったらちゃんと入れてんの(笑)

ゴムを車に常備させる男なんかどこにいんだよって」

「ゴッド石川から引き継がれなかったんだね」

「ゴッド石川は車ですんの絶対許してくれなかったじゃん」

前任のゴッド石川は協力的だった。

石川神也って名前だから、ゴッド石川。

これは和也がつけた。

みっちゃんとも仲良くて、2人で連携を取りながら事務所に内緒で交際を応援してくれた。