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「あれ？A？」
局の地下駐車場
聞き覚えのある声が響いた。
俺を呼ぶ声ではない、俺の隣を歩くAを呼ぶ声だ。
「潤くんだ」
2人で振り返ると、後ろにはサングラスをかけた松本潤がいて
片手には大きな紙袋を持っている。
「あ、2人大学行ってたの？」
「うん、それでみんなに会いたいって言うから連れてきた」
松潤が、同じグループである俺じゃなく、なによりも先にAを見つけるのは
松潤がAに惚れているからだ。
「潤くんは？」
「俺はコレ」
潤くんが手に持っていた紙袋を少し持ち上げる。
「あ！私の大好きな！」
「差し入れで買ってきた、最近ずっと相葉ちゃんがケーキ食べたいってうるさいから」
「私の分もある？」
「ないな」
「もう！」
それがAの好きなお店だと知っていたのだろうか、
松潤は意外と乙女な部分がある。
「あ、そうだ、潤くんに借りたDVDまだ観れてないの、ごめんね、今月中に絶対返す」
「あげるよ、俺もう何回も観たし」
だけどAは、松潤の想いに気づいていない。
それは、智くんがAの目を塞ぎ続けているからだ。
「ちゃんと返す！あ、そう！この前ね、潤くんが行きそびれたって言ってた映画、発売前に監督がくれたの。また今度持ってくるね」
「え！まじ？超嬉しい、ありがとう」
あまりに無謀だ、と俺は何度も松潤を止めた。
入る隙すらない。
チャンスすらない。
可哀想だと思った、けど事実だった。
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作者名：くろーばー
| 作成日時：2019年6月10日 22時
