瑠璃色、揺れる【Satoshi.O】 (ページ15)

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「事務所が、直接私に言わないで智に言うのも、元はと言えば私のせいなの。

別れるくらいなら辞めるって言いかねないから(笑)

大学入る前に呼び出された時も実際そう言ったし、辞めてもいいと思ってるのも事実だしね」

Aは智くんしか知らない分、視野が狭い。

知っている世界が、小さい。

・・・智くんがいなくなったらこいつはどうなる？

もしも智くんがいなくなった時

だれよりもなによりも智くんが大事だ、と平然と言うこいつを、誰が止められる？

「翔ちゃんは？ユリと、結婚するんでしょ？」

Aの口からユリの名前がでると、思わずドキリとする。

それは、自分が後ろめたいことをしている証拠で、

智くんとAがどれだけ好き合ってるか知っているのに、俺は知らんぷりをし続けているのを自覚しているからで。

「うん、大学卒業したら籍を入れようと思ってる」

平然と答えた自分が、あまりにも冷酷だった。

「・・・そうなんだ。

結婚式、楽しみだなあ、お色直しは3回？」

一瞬、Aの時間が止まったのがわかった。

頭によぎったのだろう、

俺とユリが結婚した後の、智くんとAの未来が。

2人に浴びせられる、尖った言葉が。

俺らの結婚報道と同時に、

智くんたちの話題が取り上げられるのは、芸能ニュースが好き好む流れだ。

「スピーチ、考えといてね」

人間は、幸せを比較をするのが大好きだから。