◆*13*◆ ページ13
「さっき、翔ちゃんに電話したらAがでて、今から翔ちゃんとスタジオ来るって言ってた」
翔ちゃん、という言葉に明らかに嫌な顔をしたが
Aが来るのは相当嬉しいようだ。
眉間の皺が伸びた。
「なに？今回は翔ちゃん絡み？」
「・・・いや、今回はAの事務所」
「ああ、相変わらず諦めが悪いな」
Aの事務所は、少し特殊だ。
というより、Aに対して度を越えて過保護だ。
事務所の大黒柱、ということもあるが
3年前の脅迫事件が大きく関わっているんだと思う。
Aは知らない。知っているのは、社長と嵐だけだ。
「またAの将来の話をされた。俺がいるとAは大きくなれないって」
「ちがうじゃん、大野さんがいるから今のAがいるんじゃん」
「Aが仕事を選んでるのも事実だから」
海外の仕事は頭ごなしに断っている、とAが言っていたのを思い出した。
同時に、Aと初めてお酒を飲んだとき、海外の舞台で主演をするのが夢だと言っていたのを思い出した。
きっと、これは俺しか知らないことだろう。
「無理してんのかねあいつ」
「大野さんといるときだけが、AがAでいられるときなんだよ」
思わず言葉に力が籠った俺を、大野さんがハハハと笑った。
もうこれ以上は、という意味だろう。
「ああ〜〜！！抱きてえな、がむしゃらに！」
「俺も彼女ほしい〜いいケツした彼女ほしい」
「ニノってお尻派だっけ」
「ううん、パイ」
はやくA来てくんないかなあ。
そうすれば大野さんは、大野さんに戻れるのに。
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作者名：くろーばー
| 作成日時：2019年6月10日 22時
