消えぬ想い～K.N～② (ページ6)

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限界。ページ6

どうしても目立ってしまっている二宮くんに引っ張られなから歩く私を皆が珍しい物を見るように横目で見ていた。
だからといって、二宮くんの力が強くて、迫力もすごくて、手を振り払うことも出来ずに、このまでついてきてしまった。

ひと気のない、学校校舎とプールの間の渡り廊下に連れてこられて、そこの横にある小さな花壇に座らされて、二宮くんも私の隣に腕を組んで座った。

二宮くんは何も言わずにただ座っていて、私はさっき流れた涙を拭って、空を見上げた。
空の色は紫色をしていて、一つだけキラキラと星が小さく光っていて、私はその寂しそうな星をただ見つめた。

「...落ち着いた？」

「...ん」

「...ごめんな..」

「....」

「さっきの...2人...オレのことで何か言われたろ？」

「ちが...そんなんじゃない..」

「だから...嫌だったんだよ...」

「....？」

「...あの2人..前にオレのこと追っ掛けしてたから...だから、お前にいちゃもんつけにきたんだろ？」

「.....」

なんて返したらいいか分からなかった。

「オレのせいで...ごめんな？」

「...二宮くんのせいじゃないよ....」

それが今返せる精一杯の言葉だった。

「...はぁ～あ..どうしたらいいかオレにもよくわかんねーわ..」

二宮くんは花壇の端に手をついて、空を見上げた。
私ももう一度さっきの星を見つめた。

「二宮くん...？ありがとう...私なら...もう大丈夫だから..本当に...色々迷惑かけちゃってごめんね。」

二宮くんは今...私を苦しめてしまったことに罪悪感を感じてしまっているから、それを少しでもなくしてあげたかった。
二宮くんのいる世界ではきっともっと色んなことがあるのに、私なんかで悩ませたくなかった。

「ふふ...あんなの慣れてるし」

だから笑った。
中学のときは、よくイジメられてたし。

「....ほっとけねーよ...」

二宮くんが、私の方を見た気がしたから、私も二宮くんの方をゆっくり見た。
二宮くんとしっかり目があって、そのあまりにも切ない表情に、私の胸はまた大きくドクリと波を打って、沈黙のまま二宮くんから目を逸らすことが出来ずにいた。

だから...どうして私をそんな表情で見つめるの？
そんな悲しい顔をしているの？
どうして...

「柴崎...好きだ」

私はその言葉を聞いた瞬間に、心臓が止まった。

「...ごめん...オレもう限界だわ...」

そう言うと二宮くんは私に手を伸ばして、ゆっくりと優しく私を包み込んだ。