消えぬ想い～K.N～② (ページ47)

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あけおめ。ページ47

「あ...あれ？...」
今の私の脳内は、左と言われたのか右だと言われたのか、全て吹っ飛んでいる。

ただ目の前にある衝撃が私の頭を真っ白にさせた。

「...髪..？どうしたの？」

会わなかった間に、かずくんはグレてしまったのかと思って、開いた口が塞がらなかった。

「あー、これね？今やってる役でちょっと。」

かずくんは毛先をクルッとさせながら言った。

「...役？」

「そ。...チンピラ役。そんなこといーからとりあえず入って？」

「Aちゃん、いらっしゃい！」

部屋に入るとお母さんと同じ顔をした相葉くんがいた。

初めて入るその部屋は、二宮くんと違って、少し殺風景な部屋だった。

「そこ座ってー？」

相葉くんが私を手招きしてくれて、私は、白いソファーに腰をかけた。
そこの前のテーブルには既に、オレンジジュースを含む３つのグラスが置かれていて、ソファーの向かいに相葉くんが座って、私の隣にかずくんが腰掛けた。

「あ、Aちゃん！あけおめー！ことよろー！」

「あけましておめでとう。今年も宜しくです。」

相葉くんがグラスを手にしたから、私も目の前にあったオレンジジュースを咄嗟に手にして、乾杯をした。
相葉くんはすぐに「そいえばさぁ！」と話し始めたから、私は相葉くんの話を「うんうん。」と言って聞いた。

でも本当は。

相葉くんには申し訳ないけど、正直全然入ってこなかった。

だって。

隣にいる久しぶりに会えたかずくんが、気になって気になってしょうがなかったから。

膝が触れ合う距離にいるかずくんに、今すぐ抱きしめてほしいとかそんなことばっかり考えてたから。

「お前さぁ。」

隣にいたかずくんが炭酸ジュースを飲み干して、相葉くんの話を遮った。

「え！オレ？何ー？」

「普通気つかって出てくだろ。いつまでいんだよ。」

「えー？だってオレの部屋じゃん！オレが出てったら、2人...やっちゃうでしょ？」

と私たちを指差して、ニタニタと笑った。

「はい。お前死刑決定。」

かずくんはスクッと立ち上がって、机を余裕で飛び越えて、相葉くんの上に乗りかかった。

何度も見たこの光景。
金髪になったかずくんの後ろ姿は、やっぱりかずくんで。
ずっと会いたかったかずくんで。
ずっと抱きしめてほしかったかずくんで。
ずっと触れたかったかずくんで。
ずっと...。

顔は笑っているのに、なぜたが頬に涙が伝った。