消えぬ想い～K.N～② (ページ46)

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お正月。ページ46

それから、私は定番のお正月を過ごしていた。

1日はおばあちゃん家。
2日はまたおばあちゃん家。
3日は家族で初詣。
4日は舞花と初詣。
6日は宿題に追われる。

ようやくかずくんの仕事が落ち着いて、少しだけ時間が出来たのは、冬休みが明けて1週間たった頃だった。

「まだオレん家は危ないから、悪いけど相葉くん家来れる？」とまだ寝ていた休みの早朝にかずくんから電話がかかってきた。

その電話で、眠気は一気に飛んで、会いたい気持ちが優先して、メイクや服も適当に済ませて、家を飛び出た。
指定された駅まで行くと、そこは私の住む駅と似ていて、なんだか親しみを覚えた。

駅に着いたら電話するよう言われていて、私は通話ボタンを押した。
かずくんは丁寧に道を案内してくれて、私は迷うことなく辿り着くことが出来た。かずくんの言う通り、住宅地の中にポツンとある中華料理屋さんだった。

「とりあえずお客さんとして普通に店側から入ってきて。おばちゃんには説明してあるから。」
かずくんはそう言うと電話を切った。

1人でレストランに入るのは初めてで、緊張しながらお店の扉を開けた。

扉が開いたと同時に「いらっしゃいませ～。」と女の人の声が聞こえた。
その明るい声の主が私のところに笑顔で向かって、すぐに誰だか分かった。

「ふふふ..あら、可愛い。.一名様ですね？」

「はい。」

「では、こちらの特別部屋へどうぞ。」

喋り方から顔から笑顔の全てから『相葉くんの母です。』とにじみ出ていた。

第一声に可愛いと言ってしまうのは、母親譲りとゆうことが分かり、私の顔は緩まずにはいられなかった。

その緩んだ顔のまま、特別部屋へと案内された。
相葉くんのお母さんに後ろをついていくと、そこは、厨房の奥にある相葉くん家だった。

「二階上がってすぐ左の部屋よ？あれ、右だったかな？えーと..あ、左よ！左！ゆっくりしてってね？」

「左ですね？分かりました！ありがとうございました。」

そんな可愛いお母さんにペコリとお辞儀をして、スニーカーを脱いでゆっくりと階段を上がった。

左の扉の前に立って、私は大きく深呼吸をしてトントンと扉を叩いた。

するとなぜか私の後ろの扉がガチャリと開いた。

「なんで、そっちなの。」

その声は紛れもなく会いたくて会いたくて仕方がなかった声だった。
ゆっくりと後ろを振り返るとやっぱりそこには私の愛おしい人が立っていた。