電源。 ページ43
こんなにもかずくんから着信を無視していた自分が本当にバカで、自分に嫌気がさした。
恐る恐る通話ボタンを押した。
鳴り響く発信音と共に、私の心臓はバクバクと鳴った。
「....もしもし..」
発信音が止まると聞こえてきた声。私の心臓は最高潮に達した。
「...あの..」
私はかずくんの声が電話口で聞こえて、声が震えられずにはいられなかった。
「おま...何して..」
かずくんの声も震えていたのが分かった。
「...ごめ..ごめ..私..その..ちゃんと話..した..い」
「...ばか..っとにお前はバカだよ。何で電源切ってんだよ。1人で勝手に解決してんじゃねーよ..」
「...う..ゔ〜..ぁ..ん..だ..て..」
久しぶりに聞くかずくんの声が優しくて愛おしくて、何にも変わってなんかいなくて、私が勝手に1人で悩んで出していた答えは全て間違いだったことを思い知らされた。
「...とりあえず..話したいけど、オレ今張られてて、安易に外出できなくなってんだ。今もまだ仕事中で...まだ年始まで仕事びっしりだから...落ちついたら必ず..必ず会いに行くから。待ってろ？な？」
「待て..るかな？」
こんなにも今すぐ会いたいのに。会えないなんて。
「いいか？よく聞け。これは特別大サービスだ。前にAが聞いた質問に答えてやる。」
「え？」
突然なことで、前に私が質問したことが何なのかも分からない。
「お前はあの日、オレに初めて会ったって思ってるかもしんないけど。オレはそれよりずっと前から、Aを知ってて...想ってたんだ。」
「ずっと前って...？何？何のこと？」
私がかずくんに会ったのはあの橋の前で、クシャミ女。って言われたあの日。
「オレたちが出会ったのはあの橋じゃない...入学式の後、お前屋上に来たろ？」
「え...うん...何でそれ」
私は入学したらまず屋上に行こうって決めてたから。
「そんときオレも...屋上にいたんだよ。」
「え...？！...あのときの..先輩？！」
「そそ、先輩ってことにしたやつね。お前が勘違いしてたからわざわざ訂正すんのも面倒くさくてさ。」
そう言えばあのとき、あれが...？あの人がかずくんだったの？
「お前が、すんげークシャミしながら屋上に入ってきてさ。なんだこいつって思ったの。」
かずくんは過去の話しを始めた。
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作者名：akiru | 作成日時：2017年8月12日 2時
