本屋。 ページ41
「...A。」
「私、最低でしょ？ただ振られただけなのに舞花に当たってるの。ウザいでしょ？だから...もう私なんかに構わないで！」
私は久しぶりに大きい声が出てしまって、なぜか勝手に涙が出て来た。
すると舞花が私の手を強く引っ張ってどこかへと歩き出した。
「ちょっと！痛い！離して！」
そんな声は届かなくて、舞花はぐんぐんと歩き進めた。
駅前にある本屋に着くと舞花があの雑誌を手にして私に見せた。
「ねぇ！これちゃんと見た？」
「は？！今更何？散々見たわよ！もう見たくもないからそんなのこっち向けないで！」
もう2度と見たくなかったその雑誌に背を向けた。
それでも舞花は私の正面に立ってその雑誌を見せて来た。
「ここ！この文章よく読んだ？！」
そう言って舞花が雑誌に指をさした。
「...読む必要性を感じない。」
読んだところで、更に現実を突きつけられるだけ。
「そーかな？私はこれ読んで笑ったわ。二宮くんこんなことするんだー。って。」
「どうゆう意味よ...」
「自分の目で確かめてみれば？私は二宮くんのことよく知らないから。でも...これだけは言える。Aへの想いは本物だったって。2人の想いは本物だった..って。」
舞花が突然声を震わせて言った。
迷惑だった私たちの声は急にシンと静まり返った。
舞花はその雑誌を私に叩きつけて、本屋を出ていった。
いつのまにか私の頬には涙がつたっていて、その雑誌にポタリと涙が落ちた。
私は手にしているその雑誌を恐る恐る開いて、舞花が指差したところだけを読んだ。
「....。」
まるでそれはかずくんが悪者みたいに書かれていて目を疑った。
かずくんがそんなこと？と頭の中で妄想してみるけど、口調も違えば態度も違う。
私は気になり出して、食いつくようにそのページを最初から最後まで何度も読み返した。
何かが違う。
この文章から悪意しか感じるとることしか出来なかった。
私はそのぐちゃぐちゃにしてしまった雑誌を買って、外に出た。
雪は止んでいて、さっき見た大きなツリーまで歩くと、目の奥が熱くなる感覚に襲われた。
「...な..なんで..いい訳..しに..きて..くれないの？..」
お願いだから嘘だと言って...
お願いだから..私に会いにきて...
どうして...
1か月とゆう長い月日は、私の感覚の全てを狂わせて、大粒の涙が溢れて、私はその場に立ち尽くした。
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作者名：akiru | 作成日時：2017年8月12日 2時
