消えぬ想い～K.N～② (ページ40)

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凍る。ページ40

それからすぐ冬休みに入り、大晦日の今日。
今年初めての雪が降った。

子供のころ、雪が降ると沢山積もれ積もれって家の窓から願っていたけど、今はただ真っ白に染まった景色を電車の窓から見ては、ただ降る雪を見てるだけ。

終業式の日、私は何度も行かないと断ってたのに、舞花が「参加にしといたから。」って私にサラッと言った。

「は？！何でそんな勝手なことしてんの？」

「そーでもしないと冬眠しすぎて凍るよ？」

「別に私の勝手でしょ。断ってくるから。」

私はせっかく学校の門を出たのに学校に引き返そうと振り返った。

「もう遅いよ。予約してお金払っちゃったんだって。」

「....は？」

「お金建て替えといたから。当日返して。」

そんな半ば強制参加させられたクラスの忘年会。

私は電車に乗って、窓の外の雪を見ていた。

初めて降りた駅には、同じ東京とは思えない沢山のネオンが輝いていて、クリスマスは終わったはずなのに大きなツリーがキラキラと光っていた。
大きなツリーの前にはクラスメイトが沢山いて、その集合場所に近づくと舞花が私に気づいて手を振りながら駆け寄ってきた。

「A！こっち。」

「はい、お金。」

私は舞花にお金を手渡した。

「...今はいらない。帰りに返して？」

「何で？早く受け取ってよ。」

「帰るつもりでしょ？」

舞花に私の心は読まれていた。それなら話は早い。

「そうだよ。分かってるなら早く受け取ってよ。はい。」

舞花の手に強引に手渡すと、私はすぐに駅の方へと向かった。

舞花に言われる前から、私はすでに凍りついている。だって、この大きなツリーを見ても何の感情も湧かない。こんなツリー、ただ電気の無駄。
私の心は完全に凍りついていた。

「A！」
舞花が後ろから私の手を握った。

「...何？」

「いいかげんにしなよ。あんた。いつまでそんな態度でいる気？」

「...舞花には関係ない。舞花には私の気持ちなんて分からないんだよ。私、裏切られたんだよ？」

私は舞花の手を振り払って舞花を睨みつけるように言った。

私はどこかで期待をしていた。
携帯電話の電源を切ったって、私の家は知ってるからまた前みたいに会いに来てくれるかもしれない。
あの橋にいて、「あれは違うんだ！」って言い訳しに来るかもしれない。
あの電信棒に立って「ごめんね。」って謝りに来るかもしれない。

だけど。

そんなことは私のただの幻想で、かずくんは私の前に現われなかった。