デコピン。 ページ19
「...やべぇ。」
「...な..何が？」
「もっかい呼んで？」
「...そ、そんな言われて呼べないよ！」
「ちぇっ...でもこれから二人でいるときは名前で。二宮くんって言ったらデコピンね。」
ようやく私の前にしゃがんでいた二宮くんは立ち上がりベッドの端に戻った。
私はなんだかすごくドキドキと緊張が続いていたせいで、手汗をかいていた。
でもなんか。二宮くんが前とは少し違う。違うってゆうのは性格とかじゃなくて、、なんて言ったらいいか分からないけど..,。
なんか違う。
なんか幸せで。
これが両思いってやつで。
両思いってこんなに幸せなことなんだと初めて知った。
「じゃ、帰ろっか。」
二宮くんはいつの間にかパーカーを羽織っていて、携帯をポケットに入れた。
「..大丈夫。1人で帰れるよ！」
さっきの2人のことがよぎった。二宮くんと一緒にいるところ見られたら、今度は何されるか分からないし、二宮くんにも迷惑かけちゃう。
だから今日はとりあえず1人で帰ろうと思った。
「...は？今まで散々送られといて、今更何言ってんの。」
「そ！そーだけど。これからは1人で大丈夫！ほら、今日は駅に用事あるし！まだ明るいし...」
外を見ると明るくなんかなくて、間違えたと思った。
「...おかしいな...何でそこまで拒否んの？何かあったろ？」
二宮くんの観察力は鋭い。
また、私の言おうとしてることとか、考えてることを読んでいる。
私は二宮くんから目を逸らした。
「...何にもないよ。じゃ帰るね。二宮くんまた」
私がカバンを手にしたとき、二宮くんが私のおデコにデコピンをした。
「いった..」
「言ったばっかだろ？かずくんね？」
「...か..かずくん、またね。」
私は二宮くんを避けて扉を開けようとした。
「はい、ダメー。何があったか話すまで帰さないよ。」
そう言って二宮くんが私の背後からドンっと片手で扉を押し付けた。手前に引く扉は開くことが出来ない。
私はゆっくりと振り返ると、完全に二宮くんに包囲されていて、恐る恐る二宮くんを見上げると、二宮くんは私を見下ろしていて、私を睨みつけていた。
「話すよな...？」
その迫力はあまりにも強くて、私は完全に抵抗できず、押しに弱い私はコクンと頷くと、二宮くんはようやく私を解放して、座布団の上に座った。
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作者名：akiru | 作成日時：2017年8月12日 2時
