名前。 ページ18
二宮くんはクローゼットから白いTシャツを出して、着ながら言った。
「雑誌の撮影とか、衣装合わせとか。しょっちゅうだからさ、裸とか何の抵抗もなくなっちゃったんだよね。」
「...そうゆうことか...」
一瞬混乱したけど。
そうだよね、仕事だよね。
「...何想像したの？」
二宮くんはいつのまにか私のそばにいて、ニヤニヤしながら私の横にしゃがみ込んで顔を覗き込んだ。
「な..何にも想像なんかしてないよ！」
「嘘つけ。顔にヤラシーこと想像しました。って書いてあるよ？」
またイタズラな顔をして、私の頬を指差した。
自分が赤面したのが分かり恥ずかしくなって二宮くんの指を払った。
「...もう！そんな訳ないでしょ！二宮くんがそうやって変な事言うからでしょ！」
本当に想像なんかしてないのに！そうやって言うから、変に考えちゃったじゃない！
「あははははは‼ごめんごめん。ついからかいたくなっちゃうんだよね、A見てると。」
「....え」
胸の奥がドクリと波を立てて、二宮くんを見据えた。
「何..じっと見て」
「...だって...」
「だって何？あ、Aちゃんって呼んでほし？それともAさん？...やっぱり柴崎のまま？」
「...どれでも大丈夫」
ってゆうのは嘘で。本当はAって呼んでくれて、今、私、確実に心が飛び上がっている。もっかい聞きたい。二宮くんの声で、私の名前を呼んでほしい。
「じゃあ、柴崎ね？」
「.....」
二宮くんはまた私をからかうように笑っていた。
「...あ、いじけた。」
「...いじけてません。」
「嘘だよ。A。」
いつの間にか尖っていた私の唇に二宮くんが、指で摘んできた。
「...ん〜ん〜ん！」
離してと言いながら二宮くんの手を掴んだけど、力が強くて離れない。
「じゃあオレのことも名前で呼ぶ？」
「ん？」
「え？じゃねーよ。呼ぶよな？」
これはもう脅迫と言っても過言ではなくて、私はうん。と言う以外選択肢はなかった。
「んんっん！んんんん！」
「分かった！呼ぶから？よし...」
そう言ってようやく二宮くんの手が離れたから、私は大きく深呼吸をした。
「はい、行くよ？せーの..10,9,8...」
すると急にカウントダウンが始まった。
「え！？何...？」
多分これは名前を今すぐ呼べってゆう合図で。
私は二宮くんのカウントダウンの催眠術にかかってしまい、まんまとつられて
「か...かず...くん！」
そう叫んでいた。
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作者名：akiru | 作成日時：2017年8月12日 2時
