パンプス。 ページ17
お姉さんにサツマイモを渡して、お姉さんと話しているうちにいつのまにか夕方になっていた。
「かず、遅いわねー？最近忙しいみたいだから、もしかしたら今日は...」
「いえ！全然大丈夫です！私が勝手に押しかけて来ただけですから。ご迷惑なので、そろそろ帰ります。ありがとうございました。」
私は立ち上がった椅子を引いてリビングを出て、パンプスに足を入れた。
「かずには伝えておくわね？」
「ありがとうございます...おじゃましました。」とお姉さんにぺこりと挨拶をした。
玄関の扉を開けようとしたら、タイミングよくガチャリと開いて、私はふらついた。
「うぉっ...」
二宮くんは見たこともない表情で驚いていた。
「...二宮くん...」
「...柴崎」
「...あ..あの。おじゃましておりましたです。」
私の胸が急にドキドキしたせいで、ヘンテコな敬語になってしまった。
「...びっくりしたぁ..」
「かず、遅かったわねぇ？」
「...まだ時間ある？あるならもっかい上がってって？」
お姉さんの言葉を無視して、私に言った。
「...うん..じゃあ..おじゃまします...」
二宮くんが靴を脱いで家に上がったから、私もまたパンプスを脱いでおじゃますると、お姉さんはヒラヒラと私に手を振ってなぜかウインクをした。
「...ちょっと今日汗かきすぎてヤバいからシャワー浴びてくるから、部屋で待ってて。」
部屋に入るとすぐクローゼットから着替えを出して言った。
「...あ..うん。」
部屋を出て行く二宮くんを見届けると、とりあえずちょこんと適当に座った。
久しぶりに入った二宮くんの部屋は、いつかみたいに片付いてはいなくて、ゲームや資料、お菓子や缶のゴミが散らばっていて、二宮くんが忙しいことが想像出来た。
しばらく待っていると、上半身裸の二宮くんがタオルで頭をゴシゴシしながら部屋に入ってきて、ベッドの端に座って、そのままタオルを肩にかけた。
「...あっち〜。ごめんな待たせて」
私は恥ずかしくて目を背けた。
「..ううん。大丈夫。」
風呂上がりの二宮くんは石鹸の香りがして、汗ばんだ私とは違い、いい匂いがして、私の汗臭さが嫌で二宮くんから少し離れて座り直した。
「...何でそんな隅に座ってんの？」
「...いや..その...なんとなく？」
私は二宮くんを見ずに答えた。
「...あ〜裸だから？ごめんごめん、ついね。誰の前でも上半身裸とかしょっちゅうだからさ。」
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作者名：akiru | 作成日時：2017年8月12日 2時
