オレンジジュース。 ページ38
二宮くん家に着いて、この間と同じように私に缶ジュースを差し出した。だけど前とは違うのは、私に差し出されたのはオレンジジュースだけ。
「...ありがと。」
私は少し間を置いてオレンジジュースを手にした。
「...違った？」
「ううん、合ってる。」
「...いつもオレンジジュース飲んでるだろ？」
そう言って二宮くんが私に背を向けて制服のカッターシャツを脱ぎ始めたから、私は慌てて後ろを向いた。
「...私、炭酸飲めないから。」
冒険心のない私は、学校の購買でもいつも決まってオレンジジュースを飲む。
「そーなんだ、珍しいね？」
よく考えたら二宮くん家で、二宮くんと2人きりってゆうのは初めてだった。この間は、相葉くんがいたし。その次はお姉さんがいた。
そのことを意識をしだすと、胸が勝手にバクバクと大きく鳴り出した。
普通に...普通に。
オレンジジュースを胸に当てて、大きく深呼吸をした。
「いつまでそこにつったってんの？」
「え？」
いつの間にか二宮くんはTシャツと半パンに着替え終わっていて、私の立ってる前に胡座をかいて座り、ゲームの電源を入れていた。
「はい、座って。」
と私の手を握りドスンと下に座らせた。
私はペタンと二宮くんに向かって座ってしまい、二宮くんの顔がすぐそこにあって、ビックリして慌てて俯いた。
ダ...ダメだ。
普通にしてるつもりだけど、出来てない気がする。
「おい...さっきからどした？なんか顔赤くね？」
そう言って私のオデコに手を当てた。
私は恥ずかしくなって慌てて二宮くんの手を振り払った。
「だ...大丈夫！ちょっと夏バテかな？だ、大丈夫！大丈夫だから！」
「夏バテって...今更遅すぎだろ。」
私は目の前にあったコントローラを手にして無駄にAボタンを押しまくった。
二宮くんは首をかしげたけど、なんとか普通に2人でゲームをした。
これでいい。
ゲームをしているときは平静を保てるから。
ただただ夢中になった。
「ちょっと休憩。」
夢中になってゲームをしていたら、二宮くんがバタンとそのまま倒れて目を瞑った。
時計を見ると17時を回っていた。
私も目が疲れて、コントローラを持ったまま少しだけ目を瞑った。
そろそろ帰ろうかなと思い、二宮くんに声をかけた。
「二宮くん私そろそろ...」
返事がない。
二宮くんは一瞬で寝ていた。
私は思わず独り言で「はや...」と言った。
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作者名：akiru | 作成日時：2017年6月8日 1時
