教室。 ページ13
テスト週間がようやく最終日を迎え、赤点かどうか分からないけど、なんとか頑張ってやり切った。
二宮くんもVIP待遇って言ってたのに、テストは全部受けていて。
最終日の朝、「やっぱりVIP待遇じゃないじゃん？」って言ったら「2億円じゃたんねーからテストは受けなさい。って先生に脅されてんのよ。」ってまた分かりやすい嘘をついた。
HRが終わり、皆やり切った顔で教室を出ていく。私は1人日直のため、日誌を仕上げていた。
私も達成感と共に「よし！」と独り言を言って大きく背を伸ばした。
そのときだった。
私の右手が何かに当たって「イテッ」とゆう声が聞こえた。
「....ご、ごめんなさい！」
慌てて振り返るとそこには二宮くんが顎を押さえて立っていた。
「ッテー...。あ〜顎割れそう！」
「えっ...どうしよ...？！あの...ごめんね？ごめん...」
二宮くんの前に立って両手を合わせて謝った。
「ウソ。全然痛くねーよ。」
「本当？でもごめんね...」
「さっきからずっと見てたのに全然気づかねーんだもん。声かけるタイミング逃しちゃって。」
「気づかなかった...」
そもそもこの異様な光景。
二宮くんと教室で話すなんて、すごく不思議で。
教室用の二宮くんもいるんじゃないかって思った。
「あのさ、ちょっと付き合ってくんない？」
あまりにも突然な言葉に固まった。
教室用の二宮くんは可笑しなことを言う。
「付き合うって...私が？」
自分を疑って、自分を指さした。
「そ、私が。」
二宮くんは私をしっかり指さして。
なぜ？私って思ったけど、まさかあの約束のこと？あんなのただの社交辞令じゃなかったっけ？
「もしもーし、聞いてる？」
ハッとしたとき二宮くんが私の身長に合わせて前かがみになって目を合わせていて。
「...えっと..今？」
「そう、今。今日、暇じゃない？」
私は回答に困った。
だって男子と2人で...とか今まで一度もなくて。
これはうん。と言うべきか。
ううん。と言うべきか。
「あれ？用事あった？」
「用事はないけど...？」
「じゃあ決まりね。」
用事がないイコール、オッケーみたいになってて。
とりあえず机の上の筆箱をカバンにしまった。
「それで...どこに？」
カバンを肩に掛けて日誌を両手にかかえた。
二宮くんがその日誌をひょいっと私の腕から抜いて言った。
「約束したでしょ？ほら、行くよ。」
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作者名：akiru | 作成日時：2017年6月8日 1時
