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カイトくんが会社の前で待ち伏せしていた日の翌日は、仲の良い後輩だけにとどまらず色んな女性社員から質問攻めにあった。
あの可愛い子は誰なの？
彼氏ですか？
彼氏じゃないなら紹介してよ。
とまで話が発展していき、同じような会話を何回も繰り返されるのでうんざりな週明けだった。
それだけ彼の美貌が世の女性たちを突き動かしたという事実に、改めて衝撃を受けたのだった。
けれど一週間も経てば、後輩だけが週末の予定を聞いてくるまでに噂も落ち着いて。
そして今日は、彼と出会ってからちょうど一週間後の土曜日。
私は何故か、見知った顔の人物と鏡越しに会話をしているのだった。
「ほんまに来てくれてありがとね」
「こちらこそありがとうございます。急に入れてもらっちゃってすみませんでした」
「それは全然ええんやけど、てっきり一人で来てくれると思ってたからな」
「はあ」
「まさかねえ、カイト？」
「え？なに？」
シャンプーの爽やかな香りと、鼻をつく染料の臭いが混ざり合う空間で、席に座る私の背後に立つ美容師のレンくんと会話していると、彼の視線が隣の席に移っていき、そこに座るカイトくんが会話の内容を聞いていないかのようなとぼけた表情でこちらを見ている。
「カイトと来るとは」
「えへへへ」
「え、なに。もう、そういう感じなん？」
「いや、想像してるのとは違うと思います」
「いやいや、そういう感じでしょ！」
「うーん」
「で、結局どっちなん？」
はっきりしない私たちに、レンくんは痺れを切らし結論を急ぐ。
私とカイトくんは互いに顔を見合わせて、そして彼は微笑んだ。
「今はまだ友達だけど、彼氏は俺がなるから。だからダメだよ？」
「なんやねんそれ」
「すみません。仲の良い友達って感じです」
「ねえ、レン。わかってる？」
「はいはい、わかったよ。それを言うために連れてきたんかい」
「そういうこと」
語尾にハートがつきそうなくらいの口調でカイトくんが言う。
「え？髪を切りにきたんじゃ」
「それもあるけど。Aさんが美容院行こうかなって言ってたからさ、ちょうどいいやって思って」
「ちょうどいいって、お前」
「ごめんなさい！無理矢理入れてもらったのに」
「Aちゃんは気にせんでええよ。まったくカイトは、って思うんやけどなんか許しちゃうんだよなぁ」
「それちょっとわかるかも」
ふふふと満足そうに笑うカイトくんを横目に、私とレンくんは本題に移り、髪型の相談を始めることにした。
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ルリ(プロフ) - あさみさん» あたたかいコメントをありがとうございます！励みになります。また楽しんでいただけるよう頑張ります^^ (2022年10月29日 19時) (
レス) id: 9b3e1dd9b8 (このIDを非表示/違反報告)
あさみ(プロフ) - こんばんは。毎回ドキドキしながら読んでます！更新頑張ってください！これからも頑張ってください。応援してます！ (2022年10月27日 19時) (レス) @page8 id: cc9b11209e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ルリ | 作成日時：2022年10月17日 22時
