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彼に告白された夜、家に着いた頃には酔いも回っており、炭火の臭いを体中に纏ったままベッドへ倒れ込み眠りについた。
そして翌朝早くにシャワーを浴びてから慌ただしく出勤。
想定内だったが、二日酔いで頭痛が残ってしまった。
けれど息をリフレッシュしてくれるタブレットを多めに口にして、お得意の営業スマイルを振りまけば周りにバレることはない。
そんな気合いで一日を乗り切った今、力尽き更衣室のベンチに座ったまま動けないでいた。
ふとベンチに置きっぱなしのヘアカタログ誌が目に入り、興味本位で表紙を開いてロングヘアのページを見ていると。
「髪切るんですか？」
と可愛らしい声が背後から聞こえて、私は振り返った。
そこにいたのは同じ受付の後輩で、顔を覗かせ隣に腰を下ろした。
「Aさんていつもロングですよね」
「そうだね。髪型変えるのって勇気いるんだよね」
「あー、こういうのとか」
横から彼女の手が伸びてきて、いくつかのページを送った先に掲載されていたのはショートボブの写真。
「短めのボブとか似合うと思いますよ」
「これ？いや、これは小顔じゃないと似合わないよ」
「いいと思うんだけどな」
そう言って自然な流れで私の手元から雑誌を引き取り、今度は彼女の膝の上でページがめくられていった。
たまには冒険するのもいいかもしれないと、彼女の言葉に影響を受けている自分がいて。
気分が上昇したところで、ようやく動く気になれたから良しとする。
着替えが全て終わった頃に、「そういえば」と彼女が不意にまた口を開いた。
「さっき、エントランスの前に可愛い系の男の子が居たんですよ」
スカートのヨレを手のひらで伸ばして直し、彼女の方を向く。
自称イケメン好きの彼女が楽しそうに話している様子から、きっとその男の子も彼女の好みだと予測する。
「なんていうんですっけ、ああいうの。ゆるふわ系？」
「男の子だよね？」
「そうですよ〜。髪の毛もふわっとしてて笑顔が可愛くて」
彼女の説明する内容に、どこか覚えがあるような気がして。
「守ってあげたくなるような」
それでもここは会社なのだから。
浮かび上がる予感を打ち消そうと、頭を小さく振る。
「拾って帰りたくなるような感じでした」
「拾うって、何それ、面白い」
「笑わないでくださいよ！本当にそんな感じなんですってば」
確かに昨日、勤務先の会社名を教えたけれど、まさか来るはずがないと。
そう思いながら更衣室を後にしたのだった。
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ルリ(プロフ) - あさみさん» あたたかいコメントをありがとうございます！励みになります。また楽しんでいただけるよう頑張ります^^ (2022年10月29日 19時) (
レス) id: 9b3e1dd9b8 (このIDを非表示/違反報告)
あさみ(プロフ) - こんばんは。毎回ドキドキしながら読んでます！更新頑張ってください！これからも頑張ってください。応援してます！ (2022年10月27日 19時) (レス) @page8 id: cc9b11209e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ルリ | 作成日時：2022年10月17日 22時
