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そしてもう一つ、彼に問う。
「私は、その人の身代わり？」
怖くて怖くて、耳を塞いでしまいたい。
けれども聞かないという選択肢は、持ち合わせていない。
「そんなわけない！！」
彼は血相を変えてこちらを見遣る。
こぼれ落ちんばかりの大きな瞳がギョロっと開かれ、私の両腕を彼が強く掴んだ。
出会ってすぐに彼は運命と言い、間もなく私を好きだと言った。
急過ぎるとは思っていたけれど、これなら全て合点がいくのだ。
人を惹きつける魅力を持ち合わせない凡人の私は、どちらかというと時間を掛けて好きになってもらう方だから。
最初から私に元カノを重ねて、
そういうことだったんでしょう？
「俺は、Aさんが好きだよ。警戒心が強くて、近くにいるようで近づけないとこも、素直じゃないなぁ、もっと素直になって欲しいなぁって思うけど、意外と表情は素直で可愛い」
「それ、ディズってる？」
「違うよ〜。俺の好きなポイント。あと、Aさんは優しい。だから俺の強引な誘いを断れなくて、困った顔も可愛かった」
「やっぱり確信犯だったの？」
「まあね。ねえ、そのやっぱりってどういうこと？」
彼の甘えた口調がさっきまでの緊迫した空気を緩める。
細く線を結ぶ彼の目が、弧を描く口元が、私の心を溶かしていく。
ふふふと笑い合った後、彼が続けた。
「初めて会った時、Aさんが星を好きって言ってくれて、同じだ、一緒に見られるって嬉しかった。飽きずに毎週夜空を見てくれて、俺、すっごく楽しかったよ。春と夏だけじゃなくて、寒くなってからも一緒に毛布に包まって見たいよ」
ね？
同意を得るよう、彼は顔を覗き込んでくる。
そうされなくたって、私も同じ気持ちだ。
好きな人と好きなものを共有したい。
自分を好きだと言ってくれる人を、好きだと思う人を、大切にしたい。
でも、彼を好きだと思えば思うほど、彼の過去が重くのしかかる。
きっと私は、過去を思い出し憂いの表情を浮かべた彼のことを忘れることが出来ないだろう。
だって、
「カイトくん、」
長年想い続けていた恋に、たかが数ヶ月の恋など叶うはずもない。
足元にも及ばないのだから。
「ごめんなさい」
「わたし、むり」
涙声で擦れながらもそう伝えると、彼もその瞳に涙を浮かべ、
「待って、俺嫌だ」
「Aさんじゃなきゃ嫌だ」
駄々を捏ねる子供のように縋りつき、
抱きしめようとするその腕を押し返し、
「ごめんなさい」
私は小さく首を横に振った。
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ルリ(プロフ) - あさみさん» あたたかいコメントをありがとうございます！励みになります。また楽しんでいただけるよう頑張ります^^ (2022年10月29日 19時) (
レス) id: 9b3e1dd9b8 (このIDを非表示/違反報告)
あさみ(プロフ) - こんばんは。毎回ドキドキしながら読んでます！更新頑張ってください！これからも頑張ってください。応援してます！ (2022年10月27日 19時) (レス) @page8 id: cc9b11209e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ルリ | 作成日時：2022年10月17日 22時
