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夢中になって肌を重ねた次の朝。
瞼を開けて一番最初に視界に入ってきたのは、見慣れぬ天井だった。
まだ思考が停止したままの頭でぼうっと眺めていると、次第にクリアになっていく。
昨夜の出来事を思い出し頬が熱くなるのを感じながら余韻に浸る。
鼻から肺いっぱいの空気を吸い込んで吐き出す。
おはようと言いたい相手が既にベッドの上に居ないことは気配でわかっていたので、目を擦りながら重い体を起こした。
濃厚な時間を過ごした昨夜、体が火照り持参したパジャマでは暑かったため、半袖のＴシャツを彼に借りた。
眠さに負けて履くことができなかったズボンを、今になってお泊まり用のバッグから取り出し履いた。
カイトくんはどこに行ったのだろうと周りを見渡せば、ベランダに佇む彼の姿があった。
朝日に照らされ、茶色の髪色がキラキラ光って見える。
起きたままのボサボサでフワフワな髪の毛が微風に揺れるのを見て、綺麗だな、なんてことを思う。
いつもより朝が眩しく思えたのは、彼を見ているからなのか、二人で朝を迎えたからなのか、多分後者であろうけれど気恥ずかしくて中々肯定できるものではなかった。
彼に気づかれないように足を忍ばせ後ろから近づいていく。
けれどベランダに出るには彼の斜め後ろに回らなくてはいけないので、きっと気づかれるだろうと思っていたのだが、彼は遠くを見つめたまま一寸たりとも動かず、こちらに気づくことはなかった。
その顔が、その瞳が、あまりにもの哀しそうで。
私の足までもを止めたのだった。
胸の奥がぽかぽかと幸せを感じている私とは対照的な彼の表情。
こうなったことを後悔しているのでは、とズキンと心臓が鳴った。
ただ“おはよう”と言うだけなのに声が出なくて。
彼がこちらに気づくまで、ずっとその場に立ち尽くしてしまった。
「あ、Aさん、起きてたんだ」
しばらくして彼の視線がこちらに向いたのと同時、さっきまでの悲しげな表情とは打って変わり甘い笑顔になる。
へにゃへにゃと効果音でもつきそうな、そんな可愛い笑顔だ。
この感じ、知っている。
昨日ネクタイをプレゼントした時も、寂しそうな目をして笑っていた。
「うん。おはよう」
「おはよう」
「いつから居たの？」
「ちょっと前から」
「そうなんだ。声掛けてよ」
「だね」
こういう予感はよく当たる。
彼がどんなに表情を変えようとも、わかる。
違和感が続いているということ。
これはきっと、何かある。
そんな気がした。
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ルリ(プロフ) - あさみさん» あたたかいコメントをありがとうございます！励みになります。また楽しんでいただけるよう頑張ります^^ (2022年10月29日 19時) (
レス) id: 9b3e1dd9b8 (このIDを非表示/違反報告)
あさみ(プロフ) - こんばんは。毎回ドキドキしながら読んでます！更新頑張ってください！これからも頑張ってください。応援してます！ (2022年10月27日 19時) (レス) @page8 id: cc9b11209e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ルリ | 作成日時：2022年10月17日 22時
