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それから私たちは特にすることもないので映画を観ることにした。
ソファに並んで座って、互いにもたれかかりながら画面をぼうっと見つめたり。
膝枕をしている際、時々彼の顔を見遣っては、それに気づいた彼と目が合いにこりと笑い合う。
友達と表すには説得力のない距離感で体を寄せ合うことにも慣れ、心地よいときめきのまま映画を楽しむことが出来た。
時計の針が天辺へと近づいた頃、彼が「あっち行こう」とベランダへと誘い出した。
春も進んでいるとはいえまだ夜は肌寒いので、厚手のブランケットに二人一緒にくるまっている。
彼が私の背後を包むから、彼の体温がじんわりと背中から温めてくれた。
「ねえ、見て？」
そう言って彼が上空を指差す。
それが示していたのは、夜空に瞬く美しい星たちだった。
「え、すごっ！」
「でしょう」
「ここ東京だよね？」
「だよ〜」
街の光が遮ってしまうから都会の夜空は寂しいものだと思っていた。
実際私の家からは大した星は見えない。
「近くに公園あったでしょ？そこがね、星見スポットなんだよ」
「そうなんだ。もしかして、それでここに住んでるとか？」
「うん、そう。ずっと自分の家で天体観測するのに憧れてて。まぁちょっと通勤には遠いけどね」
そう言って小さく笑う彼。
顔は見えなくてもすぐに可愛い笑顔を想像できる。
彼の吐息が私の頬をくすぐった。
「羨ましいな」
見上げる空にポツリと呟く。
「Aさんも星が好きって言ってたから、この景色見せたかったんだよね」
「えー！誘ってくれてありがとう」
「またいつでも見に来てね。なんなら毎日でも」
ギュッと抱きしめる腕に力が込められ、夜空を見上げるよりも後ろに意識が持っていかれてしまう。
「毎日は無理だよ。私早起き苦手だし」
「苦手なんだ」
「だから、たまに見にきていい？」
横目で彼を探すけれど、視界に映るのは肩に乗せられた顔を隠すふわふわの髪の毛だけ。
どんな表情をしているのか見てみたくなって、そっと手を伸ばした。
ゆっくりと指先で髪を掻き分ける。
すると伏せられていた瞼が上がり、近距離のためぼやける視線が重なった。
「たまにじゃなくて、いっぱい来てね」
まるで動物にスリスリするみたいに彼はそこへ顔を埋めて、私はそれがくすぐったくて首をすぼめた。
肌寒い夜の空気を忘れてしまうほど、密着する互いの体が熱を持つ。
鼓動が、呼吸が、少しだけ苦しさを纏った気がするのは、
あなたを思う故なのだろうか。
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ルリ(プロフ) - あさみさん» あたたかいコメントをありがとうございます！励みになります。また楽しんでいただけるよう頑張ります^^ (2022年10月29日 19時) (
レス) id: 9b3e1dd9b8 (このIDを非表示/違反報告)
あさみ(プロフ) - こんばんは。毎回ドキドキしながら読んでます！更新頑張ってください！これからも頑張ってください。応援してます！ (2022年10月27日 19時) (レス) @page8 id: cc9b11209e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ルリ | 作成日時：2022年10月17日 22時
