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カイトくんとした誕生日の約束。
月が変わり、すぐにその日はやってきた。
当日はデートがしたいから前日にパーティをやりたいと言う彼の要望に添い、土曜日の夕方に彼の家へと訪問することになった。
彼が通っているのは都心にある会社だというのに、到着したのは路線を何本も乗り継いだ先の駅だった。
遠くから通うのは大変じゃないのか、と余計なお世話かもしれないが気になってしまった。
最寄駅で待ち合わせをすると、予想通り改札を出てすぐの所で彼が待っていてくれた。
可愛い笑顔で出迎えてくれ、近くまで駆け寄ってきた。
そして私が持っていた大きな紙袋をさりげなく引き取り「行こう」と手を繋いだ。
彼の部屋は青い大きなソファーが目を引く広々としたリビングで、お洒落なインテリアが多い印象だった。
綺麗に片付いていた部屋に飾り付けをしても良いかの了承を得て、持参したパーティグッズを並べ、壁一面がHAPPY BIRTHDAYの文字やバルーン、ペーパークラフトで賑やかになった。
完成したそれを見た彼はとても喜んでくれて、カイトくんが用意しておいてくれたデリバリーのご馳走と一緒に二人だけの誕生日パーティを始めることとなった。
「え、これほんとにAさんが作ったの？」
せっかくならケーキを焼きたいと思い、彼に前置きをした上で用意したイチゴとブルーベリーのケーキを箱から取り出すと、彼は驚きの表情でケーキと私の顔を行ったり来たり彷徨っていた。
そんな彼に笑みがこぼれ、むず痒い気持ちになりながらもテーブルに置く。
「こんなの簡単だよって言いたいところだけど、かなり、頑張った」
「そうなの？すごいよ！」
正直彼が目をキラキラさせている程の出来栄えではないと思っているのだが、それでも喜んでくれているので昨夜からスポンジを焼いて準備した甲斐があった。
「お誕生日と就職のダブルのお祝いだね。おめでとう」
「Aさん、ありがとう〜！」
喜びを全身で表す彼は、瞳を輝かせているだけでなく綺麗な歯並びを見せ、こちらに向けて大きく両手を開く。
体の動きを止めて数秒間、変わらず期待に満ちた目で待つ彼の意図を理解し、それに戸惑いつつも心の中で“誕生日だから”と言い訳をして。
意を決して彼の胸に飛び込んだ。
あははは！と高らかに笑う彼が、瞬時に私の体を持ち上げてその場でクルクル回す。
その時にはもう恥ずかしさよりも楽しさの方が勝っていたので、私も彼の首にしっかり腕を絡めて大きく笑った。
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ルリ(プロフ) - あさみさん» あたたかいコメントをありがとうございます！励みになります。また楽しんでいただけるよう頑張ります^^ (2022年10月29日 19時) (
レス) id: 9b3e1dd9b8 (このIDを非表示/違反報告)
あさみ(プロフ) - こんばんは。毎回ドキドキしながら読んでます！更新頑張ってください！これからも頑張ってください。応援してます！ (2022年10月27日 19時) (レス) @page8 id: cc9b11209e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ルリ | 作成日時：2022年10月17日 22時
