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急遽決まったデートの帰り道。
「映画おもしろかったね〜」なんて、定番の会話をしながらいつものように駅までの道のりを歩いていた。
もちろん右手は、彼の温もりに包まれている。
視界がぼやける程に近づいている彼の顔。
唇に余韻を残して離れていく。
触れた所へ、彼の吐息がかかってくすぐったさを覚えた。
ああ、終わってしまう。
これは、さよならの合図だから。
キスが終わると、別れの時間だ。
「Aちゃんて、いつもキスのあと寂しそうな顔するよね」
「えっ、」
自覚がないといえば嘘になる。
だって本当に寂しいんだもの。
「そんなこと、」
ないって言ったら白々しすぎるかな。
レンくんと、もっと一緒にいたい。
これでバイバイなんて、嫌だよ。
きっとこの目が物語っている。
見つめた先の彼の眉毛がハの字に下がる。
「もう少しだけ、一緒にいたい」
勇気を出して、口にした。
わがままだって解ってる。
彼が困ってしまうのも想像出来る。
ただ、レンくんなら、受け入れてくれるのではないかって、否、あわよくば同じ気持ちなんじゃないかって。
期待しちゃうんだ。
「そんな可愛いこと言わんといて」
「ダメかな？」
「ダメやないよ。ダメやないけど、うーん」
困った顔で考え込む。
顎に指を当て、どこか視線を彷徨わせ。
小さくため息をついた後、観念したかのような表情で、
「じゃあ、うち来る？」
その台詞に、ハッとする。
そうだよね、そうなるよね。
私の方が年上なのに、想像力が足りなかった。
これはまるで、“帰りたくない”とお泊まりをせがむのと同じだ。
そう思ったら急激に恥ずかしくなり、頭の天辺まで体の熱が走っていくようだった。
あまりにも恥ずかしくて、彼から目を逸らす。
そんな様子を見ていた彼は、ふふっと軽く笑った後、私の頭に手のひらを乗せた。
ポン、と優しい手の感触が包み込む。
「キス以上はしない。一緒にいるだけ」
そんな彼に、自然と視線が戻っていく。
重なるそれの先に、優しげに微笑む彼がいた。
「どうする？」
どうするもなにも、最初から答えは一つだ。
私の望みは、レンくんと一緒にいたい、ただそれだけなのだから。
「行きたい」
そう言えば、彼の微笑みが深くなり白い歯を見せ「決まり」と笑う。
いつもは別れの改札も、今夜はまだ終わりじゃない。
どちらからともなく手を繋ぎ、改札を抜けていく。
あなたの本心が知りたいと、気持ちをこの手に込めたのだった。
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ルリ(プロフ) - 林檎さん» 林檎さま、返信が遅くなってしまい申し訳ございませんでした。私自身キュンが大好きなのでそう言っていただけるのが最上の褒め言葉です、ありがとうございます。更新が滞ってしまい申し訳ない限りですが、今後ともお付き合いいただけると嬉しいです^^ (6月1日 13時) (
レス) id: 9b3e1dd9b8 (このIDを非表示/違反報告)
林檎(プロフ) - キュン死しそうでした。素敵な作品をありがとうございます｡>_<｡お身体にお気をつけて (2023年4月14日 19時) (レス) @page26 id: 84e97ac5a3 (このIDを非表示/違反報告)
ルリ(プロフ) - まいさん» コメントありがとうございます。たくさんキュンとしていただけたみたいで嬉しいです。そしてファンとまで言っていただき恐縮です。全員分を同時進行で書いているので更新が遅くなってしまっていますが、末永くお付き合いいただけると嬉しいです^^ (2022年12月30日 15時) (レス) id: 9b3e1dd9b8 (このIDを非表示/違反報告)
まい - はじめまして！すごくおもしろくていっきに読ませて頂きました！きゅんきゅんが止まりませんーきゅんで死にそうです 笑 更新大変かと思いますが頑張ってください☆すっかりルリさんのファンになりました！ (2022年12月30日 0時) (レス) @page21 id: e5435e7bdd (このIDを非表示/違反報告)
ルリ(プロフ) - わこさん» 返信が遅くなりごめんなさい。どうもありがとうございます。 (2022年12月16日 19時) (レス) @page21 id: 9b3e1dd9b8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ルリ | 作成日時：2022年7月16日 17時
