恋、みつけ (ページ24)

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ＪＩＮ＊ルート１ページ24

　
　
　
自室と同じくらいの広さのバスルームには大きなバスタブが設置されている。
お酒を飲んだ後じゃなければせっかくのジャグジー付きのお風呂を満喫したいところだったが、顔色が悪いと言われた身だ、渋々我慢をして、シャワーで洗い流すだけにした。

置いてあったシャンプーも、見るからに高級そうなボトルのデザインだし、洗い上がりのしっとり感がいつもとは段違いで、爽やかなハーブ系の香りが心に落ち着きをもたらす。
鏡に映る髪を見ると、毛先まで艶々だ。
それだけで気分が上がっていくのは、女のサガというものだろうか。

綺麗に畳まれたナイトウェアが棚の上に置いてあったので、遠慮なく袖を通した。
ツルツルの滑らかな肌触りからして、きっとシルク素材なのだろう。
とても軽く、やみつきになりそうな着心地だ。

汚れてしまったワンピースは「すぐにクリーニングへ出すから」と言う神宮寺さんにお願いをして。
クリーニングなんて数日かかるのでは？と疑問に思ったけれど、「気にしないで。すぐに終わるよ」と笑顔で返されてしまい、きっと普通の感覚ではないものがあるのだろうと彼の言葉通り気にしないことにした。

髪を乾かし、部屋への扉を開けると、窓際でパソコンと睨めっこしている神宮寺さんの姿が目に入ってくる。
扉の音に気づいた彼が顔を上げ、

「お。出た？」

とこちらを見遣ると、先程まではなかった黒縁の眼鏡を掛けていて、変化に戸惑う私に、彼は自ら、

「あー、眼鏡？パソコンで作業する時だけ付けてるんだよね」

と、説明してくれた。

「普段パソコンの画面見てると目が疲れない？俺めっちゃ痛くなるんだけど」
「私はあまりパソコンを使わないので」
「そうなんだ。Aちゃんはどんな仕事してるの？」
「私は、出版社の受付です。派遣、ですけど」
「そっか。Aちゃん、笑顔が素敵だからその仕事向いてるね、きっと」

彼はそう、こういうことをサラリと言ってのけるのだ。
恥ずかしげもなく、にこやかな笑顔で。

「ごめん、メールだけ送っちゃうから、そこ座って待ってて」

そう言うとまた、彼の目線がパソコンへと戻っていく。
眼鏡のずれを片手で直す仕草が大人っぽくて、ほんの少しだけときめいたのは内緒にしておこう。