次 ページ26
そこで俺は覚醒した。
現実に戻った。
時計がチクタクと時を刻む。
ここは俺の部屋だ。目を開いて部屋を見渡した。今のは夢、夢だ。
息を整えて気持ちを整理しよう。大丈夫、ただの変わった明晰夢だ。
まずは一度起きて、キッチンで飲み物でも飲んで…
俺は森の小道を下っていた。
「な、なんで！起きたはずやろ！今確かに目覚めた！」
だが、間違いなく俺は再びあの夢の中に迷い込んでいた。
おい、どうなってる？こんなのは明晰夢じゃない。明らかに、全く、未体験の、別の、おぞましい何かだ。
俺はまた森を下る。廃屋を歩く。土間を覗き込む。紫の少女が倒れていて抱き起こす。
まるでそう決まっているかのように、俺はそうした。何の感情もなかった。
だから、そう決まっているかのように、携帯は場違いな着信音を鳴らす。
さっきと同じだ。
『きたか』
『よるじ』
そして、少女が跳ね起きる。
突き出された両手を払いのけ、俺は振り向きざまに走った。
逃げろ、逃げろ。この化け物から、この夢から逃げろ！
追ってくる気配はまだ遠い。この廃屋から出ればきっと逃げられる。もつれた足を無理やり加速する。
土間から何かが駆け出してきた音がする。
いける。逃げ切れる。あと三歩。二歩。・・・やった、抜けた！
振り返りもせず廃屋を出た。瞬間、覚醒する感覚があった。逃げ切った！
やっと現実に戻った。俺は恐怖にあえぎながら目を開く。
そこは。またしても。廃屋の入り口だった。
ぞっと、全身の毛が総毛立つ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 36人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「実況者」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ルーラ＠レアチーズ(プロフ) - もものすさん» ありがとうございます！ (2019年4月7日 20時) (
レス) id: b6e5296692 (このIDを非表示/違反報告)
もものす(プロフ) - ルーラ＠レアチーズさん» 成る程、丁寧に対応していただきありがとうございます！貴方様の小説は奥が深いのでシンプルな小説とは違い読みがいがあります、読んでいくうちにのめり込む笑 これからも応援しています！ (2019年4月7日 17時) (レス) id: 7ecc545104 (このIDを非表示/違反報告)
ルーラ＠レアチーズ(プロフ) - もものすさん» 洒落怖という2ch掲示板から一部ネタをお借りしています。なので、貴方のおっしゃっているYouTubeの体験談で同じネタを使っているからだと思います。一番最初の『小説の構造について』の部分に洒落怖のURLを貼っているのでもし良ければ飛んでみてください！ (2019年4月7日 0時) (レス) id: afd25b5a7b (このIDを非表示/違反報告)
もものす(プロフ) - この人言語力満点だしヤベェって思いました(失礼)神なんですけどなんかようつべの体験談で見たことあるんすよ…なんでだ？？(( (2019年4月6日 20時) (レス) id: 7ecc545104 (このIDを非表示/違反報告)
ルーラ＠レアチーズ買ってこいよ(プロフ) - うおがめさん» コメントありがとうございます。なんか急展開な気がしてますｗ今でもコメントが来るなら続けようかな… (2018年4月3日 9時) (レス) id: 05e96bbcbb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
