8.Finale ページ8
「綺麗ですよAさん。いよいよ明日ですね」
ありがとうとは、言わなかった。
声が枯れたみたいね。
「式は、国の貴族様だけって決まりましたが、少し、寂しいですね」
「…そうね。とても、寂しいわ」
＼
「貴方…こんな夜中に何でいるのよ。私、明日早いんだけど」
「こんばんは、王妃様。迎えに来ました」
「帰って」
「…」
私の気持ちなんて分らないんでしょ。
「貴方には関係ないって言ったわよね？」
何も…知らないんでしょ。
「関係ないって言われたら気になるのが人間やろ？」
今だけ悲しんでても、いつかは風化してしまうんでしょ。
「何も分らない！何も知らないならもう関わらないでよ！！！！！」
「うっせえ！！！んなことどうでもええよ！！！俺に何も言わずにただ王妃やめます？知らんとこの家で生きていきます？ふざけんなよ！！本人が諦めてどうする！？お前がもう何も出来なくなったってどうなろうと俺が隠し通してやる。どこへだって連れて行ってやる」
馬鹿ね。
本当に馬鹿。
出会った時から変わらない。
頼んでもいないこと、しないでよ。
「俺がお前を助けてやる」
「ふっ…」
「！？何笑ってるんだよ」
「馬鹿ね。そんな真面目な顔で。こんな時でも、全然変わらない」
貴方の手を取った事が間違いだったとしても。
それが私の決めた運命だから。
誰にも囚われず、自分自身で生きていく。
それが間違いでも、答えでもなんでもない。
『今日から君はうちの子だ』
『26になれば、君は晴れてお嫁さんだ』
さようなら、大好きな、大好きな、私の国。
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