■仮面とサイレンの間に■4 (ページ10)

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･その10 ページ10

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アリスが刀に溜めた雷撃を放とうとした瞬間。

ﾄﾞｯｯｯｺﾞｫｫﾝﾝ!!!!/

凄まじい爆風と炎が辺り一面を包んだ。
倒された巨大化したスダルの爆発がすぐ傍で起こったのだ。

「「「っ！？/きゃぁ！？」」」「……ぐは…っ…！」

天井や壁を突き抜けて落ちてくる瓦礫から身を守りながら、快盗たちはブルーの持つシールドに飛び込んだ。

一方、雷撃に集中していたせいで反応が遅れたアリスは、熱風で割れた窓ガラスと共に吹き飛ばされる。
ガラスの破片で切れたマスクの下から、頬を伝う液体に気付き袖口で拭う。……淡い水色のフリルに血が滲んだ。

「ｹﾞﾎｯ……これ以上の深追いは……っ。」

なんとか受け身をとれたものの、肩で息をしながら炎の中で片膝をつくアリス。今までのどんな戦闘でも見せなかった姿だ。
強打した頭をかばいながら、彼女はぐらぐらと揺れる視界のまま異世界へと撤退していった。

ブルー「俺たちもここから離れるぞっ。」

危険を察知したブルーの声で、崩れかけの工事から飛び出す3人。変身を解くと、様々なものが焦げた匂いが鼻についた。

魁利「あぁっ！もうちょいで顔が見れたのにっ。」

煤けた地面を蹴りながら、魁利は悔しそうに呟いた。
そんな彼を戸惑いがちに見つめる、透真と初美花。

透真「……魁利、さっきのはいったいどういうことだ？
本気であいつをギャングラーから解放するのか？」

魁利「……うん、マジだよ。」

初美花「そっか、アリスのこと……助けたいんだね。だったら私も…！」

魁利「いや、いいって。俺が勝手に決めたことだし。」

透真「そうは言っても……」

魁利「なんつーか、これは俺の自己満？っていうか。
だからお前らは〝本命の願い〟だけを、な。」

パチッとウインクをする魁利になにも言えなくなる2人。

おどけるような、牽制するようなその仕草はまさに、目は口ほどにモノを言うのだと示していた。

人はどうして他人(ひと)に期待してしまうのだろう。
そして積み重なった淡い期待は、誰が応えるのだろう。

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