●はじまりの景色 ページ46
━━━
━━
━
ひどく深い眠りから醒めたような気分だ。
脳みそがぼんやりとしていて、見えるものも聞こえる声も曖昧に感じられる。
？？「よォ、目が覚めたか。」
「…………。」
目の前にいる何かがゆらりと体を起こしたようだ。
厚みのある低い声が、ぼんやりと私を包む。
？？「貴様っ、ドグラニオ様の言葉を無視するなど！？」
ドグラニオ「気にするなデストラ。
――……ようこそ、アリス。新しい俺のファミリーよ。」
「……アリス……ファミ、リー……？」
.
虚ろな目で、少女はドグラニオを見上げた。
ドグラニオ「あぁ、今日から俺たちはファミリーだ。俺の名はドグラニオ。」
薄暗い部屋のなかで、緑色の瞳がきらりと光る。
ドグラニオ「こっちが右腕のデストラで、お前の傍にいるのがゴーシュ。分からないことがあれば、なんでも聞けばいい。」
右、左、と少女はドグラニオが指差した先を目で追った。
ドグラニオ「……俺はお前と共に成し遂げたい夢がある。協力してくれるか？」
「……ゆめ。」
少女は胸にちくりと刺さった言葉を呟いた。
ドグラニオ「あぁ、そうだ。アリス、お前の力を貸してくれ。共に素晴らしい世界を創ろうじゃないか。」
ドグラニオの瞳と同じ緑色が、視界のすべてを染めていく。
頭に置かれた大きな手と、自分が、溶け合ってひとつになるような感覚が少女を包む。
(――私の力を……この人に……。)
「はい、ドグラニオ様。」
自分のものとは思えないような低い声が少女の喉を通る。
その言葉を聞いて、ドグラニオは機嫌よくワイングラスを傾けた。
少女は、その後ろ窓からのぞく曇天のなかで鮮やかに空を駆け抜けた、大きな稲妻が目に焼き付いて離れなかった。
━
━━
━━━
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 143人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
くっきーー(ﾟﾚ゜)(プロフ) - ファルルさん» ファルルさん、嬉しいお言葉ありがとうございます！かなりお待たせしてしまいましたが、また楽しんでいただけたら嬉しいです。今後ともよろしくお願いします(^^) (2021年8月20日 22時) (
レス) id: d79e2b38c6 (このIDを非表示/違反報告)
ファルル(プロフ) - 長編も短編も面白くていつも読ませてもらってます！小説の続きが楽しみで毎日のようにこのサイトにログインしています(笑)これからも頑張ってください！ (2021年4月18日 16時) (レス) id: 0105e3b4bf (このIDを非表示/違反報告)
くっきーー(ﾟﾚ゜)(プロフ) - ヒロさん» お返事遅くなってしまい申し訳ありません！コメントありがとうございます！！更新を再開した際に、またお立ち寄り頂けたら嬉しく思います(^^) (2020年4月17日 11時) (レス) id: 518184db7c (このIDを非表示/違反報告)
ヒロ(プロフ) - とても面白かったです。続きが楽しみです (2020年3月9日 11時) (レス) id: 0b6c256cc4 (このIDを非表示/違反報告)
くっきーー(ﾟﾚ゜)(プロフ) - かたつもりさん» わぁぁ、かたつもりさん初めましてー！コメントありがとうございます！こうして感想を頂けるととても励みになります(T^T)今後も皆さんに読んで頂けるよう、これからも更新頑張ります!!! (2019年5月20日 19時) (レス) id: 518184db7c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：くっきーー(ﾟﾚ゜) | 作成日時：2019年4月1日 14時
