●この空の下で ページ35
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気晴らしのために来たはずなのに、こんな重たそうな空では少しの足しにもならない。
(……こっちの世界はまだ寒いんだろうか。)
冷たくも湿っぽい風が、手荒くアリスを包む。
だが、アリスがそう思うのは、自分が寒いと感じたからではない。
道行く人々の吐く息が白く染まり、時折吹く風に身を縮めているから。
淀んだ空にため息を1つ吐くと、アリスは人混みに溶けていった。
気の向くままに歩けば、知らないうちに家族連れや恋人が目立つ遊園地の近くに来ていた。
?「あっ!!」
アリスは短い叫び声が聞こえた方へ本能的に振り向いた。
そこには今にも泣きそうな瞳で空を見上げている少年。
彼の視線をたどれば、強い風にあおられ、小さな風船が空を泳ぐようにゆらりと飛んでいた。
アリスは咄嗟に物影に身を隠して、風の流れを読む。
風船が建物の裏に入った瞬間、地面を強く踏み切った。
ビルの壁面を駆け上がるように助走をつけ、風に揺れるそれに手を伸ばす。
無事に風船を回収したアリスは、風船を追いかけてきた少年に何食わぬ顔で差し出した。
「……これ、君のか?」
少年「うんっ!ありがとう♪」
少年は差し出された風船に嬉しそうに飛び付く。
彼を追いかけてきた母親が申し訳なさそうに、でも笑って頭を下げた。
少年の母「すみません、ありがとうございます!」
「いえ、それほどでも。……では。」
小さく頭を下げるアリスは、マフポケットに手を突っ込んでビル群の中に吸い込まれていった。
少年「お姉ちゃんありがとー!」
その背中に、純真無垢な声が響く。
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リーやん(プロフ) - くっきーー(゚レ゜)さん» こんにちはm(__)mお疲れ様ですm(__)m更新…凄すぎます(*≧∀≦*)楽しみだったので嬉しかったです(///∇///)ありがとうございましたm(__)m来年も…宜しくお願いしますm(__)m応援してますm(__)m (2018年12月31日 13時) (レス) id: 79a0b77c82 (このIDを非表示/違反報告)
くっきーー(゚レ゜)(プロフ) - リーやんさん» こんにちは!ありがとうございます♪よいお年をお迎えください! (2018年12月31日 13時) (レス) id: 518184db7c (このIDを非表示/違反報告)
リーやん(プロフ) - くっきーー(゚レ゜)さん» こんにちはm(__)mお疲れ様ですm(__)m楽しみにしていました(*≧∀≦*)ありがちゅ〜ございますm(__)m無理だけはしないでくださいm(__)m (2018年12月30日 11時) (レス) id: 79a0b77c82 (このIDを非表示/違反報告)
リーやん(プロフ) - くっきーー(゚レ゜)さん» こちらこそ宜しくお願いしますm(__)m (2018年12月29日 16時) (レス) id: 79a0b77c82 (このIDを非表示/違反報告)
くっきーー(゚レ゜)(プロフ) - リーやんさん» リーやんさん、ですね!これからもよろしくお願いします♪ (2018年12月29日 13時) (レス) id: 518184db7c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くっきーー(゚レ゜) | 作成日時:2018年11月27日 12時