■仮面とサイレンの間に■

●美食の代償 ページ15

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「メルグ様。」






雑誌に掲載されるくらい有名なレストランなのに、休業日と間違えそうになるほど人気(ひとけ)が無く静まりかえった店内。



そんな空間に足音も無く姿を現すアリス。

異様な状況にも顔色ひとつ変えずにアリスは、雑誌を捲るメルグに淡々と告げる。






「こちらにルパンレンジャーが向かっています。」






メルグ「おう、そうか。ちょいと暴れた甲斐があったってもんだ。」







うへへ、とだらしなく笑うメルグは、アリスを横目で見ると素っ気なく告げた。








メルグ「…アリス…とか言ったな。もう行っていいぜ。」





「……では、失礼します。」







気怠そうに言うメルグに、軽く一礼してからくるりと背を向けるアリス。







メルグ「──と、言いたい所だが……」








メルグは誰にも聞こえないように小さく呟くと、素直に立ち去るアリスを狙う。






メルグ「ついでにお前のコレクションももらおうか！」








メルグはアリスを捕縛しようと長い舌のような杖を伸ばす。





(こんなガキなんぞ、ギャングラーである俺が恐れるに足らん。)





嘲笑にも似た気持ちをメルグが抱いた瞬間。






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