Runway -私の輝く場所はここにある- (ページ15)

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将吾 side

Aはいなかった。部屋はAがオーディション参加前と変わらず同じままだった。でも何かがおかしい。Aが大事にしててオーディション中にタイ厶カプセルに入れていたネックレスや俺のトレカが入ったファイルなども無く、クローゼットも開けると俺が買ってあげた服が何着か無かった。そして何より、旅行用の一番大きなスーツケースが無かった。嫌な予感がした。急いでリビングに戻った。

ｶﾞﾁｬ

母「将吾、もっと静かに歩きなさい」

将「Aは何処？？」

母「え？？？」

将「Aはどこに行ったの！？」

母「.........」

お母さんは何も言わなかった。バツが悪そうな顔をしていた。何も言わないお母さんに腹が立った。口を開いたのはお父さんだった。

父「将吾、Aは修行しに行ったよ。もっともっと頑張って将吾の隣に立てるように、将吾が胸張って自分を自慢の妹だって言えるように、って」

将「場所は？？場所はどこ？？」

父「悪いな、将吾それは言えない。」

将「なんでｯ.........！」

父「Aが望んだんだ。昔からあまりわがままを言わないAが言ったわがままを聞かないわけが無いだろう。どうしてもAの居場所が知りたいなら自分で調べて見なさい。俺たちからは何も言わない。」

ほんとにお父さんとお母さんは何も言わなかった。その日から俺の世界に色が無くなった。笑う事すらテレビの前ではしなくなった。その日の練習すら身に入らなかった。