悲憤・隣の瞳 1 ページ14
コツコツと静かな場内に反比例するように、焦ったような足音が響く。
それと重なるように自分の心音が大きくなる。
苦しい
どんなに歩いても暗闇しか見えない。
さっき私はどんな顔をしていたのだろうか。
うまく言葉を発せたのだろうか。
“赤の娘の命はない”
男の言葉が私の脳内を埋めていく。
胸の奥が言葉で伝えられない違和感に染まっていく。
どうしてこんな気持ちにならなきゃいけないのか。
分からない
でも
それでも
こんな人間に笑いかけてくれた。
そばにいてくれた白雪さんは……
絶対殺させたりしない
あの人達に……私みたいな気持ちを味合わせたくない。
……なんて
綺麗事を並べてみたものの、自分の本心なんてこんなものじゃない。
本当は自分のための行動。
もう見たくないんだ。
私の目の前で殺されるのが。
私の弱さのせいで、誰かが死んでしまうのが。
ただ、逃げてるだけ。
この気持ちの理由は掴めない。
でもやりたいことは決まってる。
なら行動しよう。
足を動かして、頭を働かせて。
私はゆっくりと歩く速度を落とし、足を止める。
そして近くにあった木に登ると、一つ息をつき腰を下ろした。
人には話すことができない。
どこで聞かれるかわからないからだ。
アイツに言うという手もある。
しかし、相手もプロだ。
伝えるにはリスクが高い。
これは、一人で戦うしかない。
一人でやるしかないんだ。
(そういえば白雪さん……明日は休みだって言って……)
『……っまさか』
私はバッと顔を上げた。
もし
もし、あの人たちがそれを知っていたら。
これほど大きなチャンスはないだろう。
ついていくのはアイツだけ。
少しでも距離が遠ければ、狙うことができる。
アイツは強い。
でも即効性の毒など使ってきたら、可能性はゼロじゃない。
明日狙うから、今日私を誘った。
それは十分ありえる。
しかもあの時白雪さんは……
“城下にね”
『…！！』
城下に行く、そう言っていた。
城下に行ってしまえば、見張りの兵もいない。
明らかにこちらが不利だ。
私も行くしかない
そう思ったものの、待ち合わせの時間や場所など知るわけがない。
ならば、白雪さんを待つしかないのだ。
そう決めると私はすぐ行動に移した。
木から勢いよく下り着地すると、自分の部屋にあるクナイを取りに行く。
本当は自分の剣がほしいが、それは王子のもとにあるので無理だ。
静かに、月だけが私を見ている
夜があけるまで、あと六時間
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あずさ(プロフ) - 初めまして、こちらの作品を読ませて頂きましたがとても面白かったです！更新待ってます！ (2019年11月24日 1時) (
レス) id: 229f07ca39 (このIDを非表示/違反報告)
鴇(プロフ) - 美桜さん» コメントありがとうございます！待たせてしまって本当にごめんなさい…もっと楽しんでいただけるように、頑張ります！！ (2019年4月4日 9時) (レス) id: 90452de994 (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - 更新ありがとうございます！とても楽しみにしていたので嬉しいです！！応援しているので、頑張ってください！ (2019年4月4日 1時) (レス) id: f0f7b45004 (このIDを非表示/違反報告)
鴇(プロフ) - 新世界のゴリラ五世さん» コメントありがとうございます！とても長い間更新停止してしまい、本当に申し訳ないです…これから再開するので、再びこの作品を楽しんでいってください…！ (2019年4月1日 19時) (レス) id: 90452de994 (このIDを非表示/違反報告)
新世界のゴリラ五世 - 待ってました！！ (2019年4月1日 18時) (レス) id: 86fafd0b97 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鴇 | 作成日時：2018年7月9日 0時
