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「おはよう。たまご割ってもいい?」


お手伝いのまゆさん。
わたしよりも少し年上で料理も家事も完璧にこなしてくれる。

わたしが初めてそんな事を言ったからびっくりしすぎてしばらく返事がかえってこなかった。

「どうしたんですか?急に。わたしがやりますよ?」

「やってみたいから教えてくれる?」


たまごって割るの難しい。

今まで作ってもらうものを食べるだけで料理の過程に興味をもったことなんかなかった。

チャンミンにコンロに火すらつけられないって馬鹿にされて悔しかったのもあるけど、オムレツを作ってくれるチャンミンを見ていたら自然と料理も楽しそうだと思った。

だけど、わたしにはこういう作業は向いていない。

上手くなる気が全くしない。

「大丈夫ですよ。絶対に出来るようになります!それにおいしそうに食べてくれる人を想像して作ると楽しいですよ?」

「まゆさんはいつも誰を想像してるの?」

「わたしはAさんであったり、家族だったりですね。」


わたしは誰を想像しよう。

ふっと顔が思い浮かんだ。

きっと頬張って食べるんだろうな。
味に文句をつけられるかもしれないな。

誰かに料理をごちそう出来るほどになれるとは思えないけれど、もしそんな日がきたら食べてほしいな。



YH『明日ソウルに戻るね。またソウルで。』

ユノから来たメッセージは画像つきだった。

ゲーセンで苦労してとったレゴが部屋に飾られている写真だった。

YH『この写真見せた事、チャンミンには内緒ね。』

ちゃんと組み立ててくれたんだ。

チャンミンの部屋に飾ってくれてるんだ。

あんな大きな体で小さなパーツを組み立てている姿を想像してみる。

ぶつぶつ言いながら作業してるんだろうな。


「Aさん、最近楽しそうですね。」

まゆさんが上品に仕上がった朝食をテーブルに並べてくれた。

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作者名:るんるん | 作成日時:2018年9月25日 7時

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