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83−YS ページ33

やっと撮影が終わった。

『バーにいるから終わったら来て。』

Aからメッセージが来ていた。


まだいるかな・・・。

ドアを開けるとAとあの男が話していた。

また鉢合わせか。

また後で連絡すればいいか。

バーを出ようと回れ右した時、Aがピアノに向かって歩き出した。

お!
ピアノ弾くのか?

流れてきたメロディーは知っている曲だった。

カウンターの席に腰かけて耳を傾けた。

Aのピアノは俺の心を揺さぶった。

黙って聴いているつもりだったのに、無性に歌いたくなってきた。

やっぱり俺って歌手なんだな。

ハミングだけのつもりがだんだん口ずさみはじめてそのうち本気で歌っていた。

俺の歌じゃないのに、よく歌詞が出てきたな。


俺が歌っているのに気付いたAが手招きで俺を呼ぶ。

「ジョンウンの歌、弾くから歌ってくれる?」

YS「あぁ。」


こんなに気持ちよく歌ったのは久しぶりだった。

何も考えずに。

どうやったらうまく歌えるのか?

どうやったら売れる歌になるのか?

どうやったら多くの人に好きになってもらえるのか。

そんなこと全くよぎりもしなかった。



歌い終わるとバーにいたお客さんから盛大な拍手が起こった。

お辞儀をして頭をあげると拍手をしながらにこやかにしている人の顏が次々に目に入った。

「歌ってくれてありがとう。最高だった!!」

Aが興奮しながら俺の手を引いてカウンターに座らせた。

「Aさんのピアノとイェソンさんの歌を聴けるなんて。感動以外に言葉が見つかりません。ありがとうございます。」

新井さんにも賞賛されて照れながら出されたカクテルを一口飲んだ。


「Aさん。どうしてピアノを弾かないんです?ビジネスよりもピアノを弾いているAさんのほうが輝いていると思いますよ。」

俺が言おうとしていたことを先に言われた。

この人。
ちゃんとAの事を考えてくれているんだな。

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作者名:るんるん | 作成日時:2018年9月25日 7時

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