いつの日にか-second (ページ29)

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「Aさん、同じホテルにスーパージュニアが泊まっているみたいです。」

秘書の近藤さんが教えてくれた。

ロビーでメンバーを見かけたらしい。

もしかして近藤さんと面識のあるジョンウンはわたしも中国に来ている事にきづいたかもしれない。

連絡しようとスマホを出したところでチャイムが鳴った。

「そろそろ会場へ行きましょうか？」

新井さんが呼びに来た。

フォーマルなスーツに着替えた新井さんはどこかの俳優のような佇まい。

かっこいい人だな。

そう思ったのに・・・。

「Aさんは僕の右に立ってください。」

「どうして？」

「寝跡を見えにくくするためですよ？笑」

もうすっかり消えた寝跡。

いつまでこの話題で笑われるんだろう。

あからさまにムスっとしてしまった。

そんな事はおかまいなしに「さぁ行きましょう。」と腕を引っ張られた。

「もう寝跡の話題は終了ですよ？」

「そうします。」

ちらっと横を見るといたずらっこの様に笑っていた。

色んな面を持った人だな。

今みたいに子供の様に人をからかっておもしろがったりするのに、仕事には厳しい。

やっぱり父の選んだ人なんだなと思う。

出来る人に違いない。

エレベーターで会食の行われるフロアへ向かう。

さっきまで人の事をからかっていた新井さんは消えていなくなっていた。

ビジネスモードのキリッとした表情に一変している。

会食の相手は中国でも大手と言われる会社の会長と奥様。

ずっとお互い英語でのやりとり。

仕事の話は一切しない彼だけど隙を見せないところがさすがだ。

どれだけの経験を積めばこんな風になれるんだろう。

どんな話題でも対応出来る。

ビジネスの才能だけじゃなく努力して来た事も伝わってくる。

先にレストランを出たわたしと奥様。

「いいパートナーが見つかりましたね。」

別れ際そっと手を取って微笑まれた。