顔合わせーKH ページ24
第1話の台本に目を通していた。
隣に座ったのはミナだった。
今日はいよいよ顔合わせ兼、台本の読み合わせ。
KH「よろしくお願いします。」
俺の方が芸歴は遥かに長いけれど、俳優業としてはミナは大先輩だ。
「キュヒョンが相手だって聞いたから引き受けたの。よろしくね。」
椅子をわざわざ俺の方に引っ付けて座っている。
距離感を保ってくれない人が俺は苦手だ。
マネージャーに事前に頼んでおいた。
ミナの度が過ぎてきたら何か理由をつけて俺を呼び出してほしいって。
もし間違ってスキャンダルにでもなったら・・・
日本と韓国。離れているとはいえネット社会だ。いつAの耳に入るか分からない。
真実では無い事でAを煩わせたくない。
そうでなくても寂しい思いをさせているんだ。
「キュヒョン?他のキャストも誘って食事でも行かない?撮影前に親睦を深めなくちゃ。
こういうのは主役が仕切るのよ?」
そう言われると断る事なんて出来ない。
マネヒョンの方をちらっと見ると、小さく頷いていた。
KH「そうだな。みんなに声かけてくるよ。」
店はマネヒョンが手配してくれた。
やっぱりこういう場も必要だ。
顔合わせではお互い硬かった表情や気持ちが、今はやわらいで打ち解けて話せ始めた。
この雰囲気なら楽しく撮影できそうだ。
「これ、わたしの連絡先。きっとこれから必要になると思うから。」
そう言ってミナからメモを渡された。
本来なら連絡先を交換するのが普通だろう。
だけど、俺には嫌な予感しかしなかった。
KH「分かった。」
メモだけ受け取って敢えて俺の連絡先は伝えなかった。
Aの連絡先を知らない時の事を思い出していた。
ヒョンが教えてくれなくてチャンミンが教えてくれたんだったな。
最近カトクばかりで電話できていない。
帰ったら電話しよう。
早く声が聞きたくなった。
だけどこの時、携帯の電源を切っていた事をすっかり忘れていた。
95人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:るんるん | 作成日時:2017年2月10日 18時