魔女と脱走魔2【完】 ページ46
きょとんとして僕を見つめるその目に急かされるように口から言葉が飛び出した
「そりゃしたいけど、でも」
僕は病人、普通ならサッカーをやらせるような発言しないだろう
Aちゃんだって僕がサッカーを禁止にさせられていることくらい知ってる
「でも…何？」
僕が考えてることを知る由もなく、呑気に返答を待っている
結局、僕の口から出たのは
「い、や、何でも」
随分とぎこちなく、困惑した声だった
「じゃあ、決まり」
無表情とは裏腹に、楽しそうに言って歩き出した彼女に、僕はただついていくしか無かった
_________
______
「…着いたよ」
気がつくと病院の外
本当に誰にも見つからなかった…
「ほら、ここなら出来るよ」
「良いの？」
疑問を口に出せば、「何が？」と質問で返されてしまった
聞きたいことは山ほどある。けど、中々言葉が出てこない
黙り込んだ僕を見兼ねて理解したのか、Aちゃんが納得した顔で口を開いた
「大丈夫だよ。少しでも危険だと私が判断したら止めるし。やりたかったんでしょ？サッカー」
その通りなので頷いた
「それに、君は他人の前で無理はしない」
「そんなこと」
「あるんだよ。男はみーんな女には見栄を張るんだよ。無駄なのに」
最後の方だけ忌々しげに言ったように聞こえたが、Aちゃんの気遣いだということは分かった
「そうだ、Aちゃんもサッカーしようよ」
「いい」
即答だった。なんと言うか、そこら辺はまだ堅い気がする
「一つ聞いて良い？」
顔を上げると心なしか不安げな表情の彼女と目があった。聞き返すと、
「私がお見舞いに来るの迷惑じゃないの？というか、私で良いの」
そんなことを気にしていたのか。元はといえば僕が頼んだことなのに
つい吹き出すと、ムッとした表情で僕を睨む
慌ててごめんと言うと、また無表情に戻った
「迷惑なんかじゃないし、Aちゃんが良いんだよ」
紛れもない本心にAちゃんは数秒の間、呆気にとられたように僕を見た
「本当に変わり者…」
「Aちゃんこそ」
言われっぱなしは悔しいからそう言い返すと、次の瞬間、吹き出した
「…何で笑うの」
「可笑しいから」
クスクスと楽しそうに笑う
知り合って初めて見たかもしれない
それだけ気を許してくれたのかな、なんて
ちょっと、いやかなり嬉しいかも
(ねー、サッカーしようよ)
(…今度ね)
(やった！)
【番外編】それはもっと別の物【完】→←【番外編】魔女と脱走魔
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月奏(プロフ) - 天晶さん» ありがとうございます！番外編、楽しみにしてください！ (2015年6月29日 17時) (
レス) id: 1ad6dffea3 (このIDを非表示/違反報告)
天晶(プロフ) - 初コメ失礼します。とっても面白かったです！主人公の心情描写の書き方といいますか…読み応えがあって良かったです！番外編、楽しみにしています。 (2015年6月29日 17時) (レス) id: abbd78fe76 (このIDを非表示/違反報告)
月奏(プロフ) - ありがとうございます！暫くは番外編ですが、楽しみにしていてくださると嬉しいです (2015年6月29日 0時) (レス) id: 1ad6dffea3 (このIDを非表示/違反報告)
さやか(プロフ) - 続きがめちゃくちゃ気になります！続編も、頑張ってください！革命編完結、おめでとうございます！そして、お疲れ様でした！！ (2015年6月29日 0時) (レス) id: 4f30a84575 (このIDを非表示/違反報告)
月奏(プロフ) - areruさん» ありがとうございます！ (2015年6月15日 21時) (レス) id: 1ad6dffea3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月奏 | 作成日時：2015年5月24日 10時
