【番外編】魔女と脱走魔 ページ45
薬品の臭いと白い殺風景な建物から、そっと足を忍ばせる
冬花さんにバレたら後が怖いけど、こんなに天気がいい日にサッカーしないのは勿体無い
今のところ、誰にも見つかってない。このまま……
「あ、」
「………」
あともう少しで外、という所で遭遇したのは最近、知り合ったばかりの女の子
「Aちゃん…あはは」
「…………」
誤魔化すように笑っても、Aちゃんは瞬き一つしない。怖いよ
呆れてものも言えないと言いたげな表情から必死に目を逸らしていると、
「太陽くーん！また抜け出して…」
後ろから聞こえた冬花さんの声
マズイ…と僕が焦っていると、それまで黙っていたAちゃんがいきなり僕を横の自動販売機に押しやった
ちょうど人ひとりが入れるスペース
…意外と力が強かった
そうこうしていると、冬花さんが来た
「Aちゃん、太陽くん見なかった？」
「いえ…その様子だと脱走したんですね」
一瞬、ギクリとしたけど、Aちゃんは素知らぬ顔で答えた
「そうなのよ。全く太陽くんは…」
ぶつぶつと小言を言って、冬花さんはどこかに行ってしまった
助かった、と思ったのも束の間
「で、どう言い訳するのかな？この脱走魔さんは」
クルッと振り返り、Aちゃんは表情をピクリとも動かさずに淡々と言った
「いや脱走なんてし、」
「そっかー人の顔を見た途端、逃げ出そうとしたからてっきり脱走してサッカーでもするのかと思ったけど違うのかー」
「ごめんなさい、その通りです」
「あれ、意外と認めるの早いね」
ぜ、全部バレてる…
チラリとこちらに目を見やり、弁解する余地も与えずに言ったAちゃんに降参するしか無かった
「それにしても、君はサッカー以外は呆れるくらい阿呆がかかってるね」
「え」
いきなりの毒舌に返す言葉も無かった
「あ、間違えた。馬鹿だった」
「いや、変わらないよね」
思わず言い返すと、Aちゃんは悪びれもせずにこう言った
「君さ、逃げ方下手くそだよね」
またも投下された毒舌(既に暴言となりつつある)に二の句もつけられなかった
何も答えられずにいると、「こっち」と言ってAちゃんは僕の腕を掴んで歩き出した
「ど、どこに行くの？」
「実はこの前、良い抜け道見つけたんだ」
訳も分からずにいると、不思議そうに、「サッカー、したいんじゃないの？」と首を傾げながら言うAちゃん
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月奏(プロフ) - 天晶さん» ありがとうございます！番外編、楽しみにしてください！ (2015年6月29日 17時) (
レス) id: 1ad6dffea3 (このIDを非表示/違反報告)
天晶(プロフ) - 初コメ失礼します。とっても面白かったです！主人公の心情描写の書き方といいますか…読み応えがあって良かったです！番外編、楽しみにしています。 (2015年6月29日 17時) (レス) id: abbd78fe76 (このIDを非表示/違反報告)
月奏(プロフ) - ありがとうございます！暫くは番外編ですが、楽しみにしていてくださると嬉しいです (2015年6月29日 0時) (レス) id: 1ad6dffea3 (このIDを非表示/違反報告)
さやか(プロフ) - 続きがめちゃくちゃ気になります！続編も、頑張ってください！革命編完結、おめでとうございます！そして、お疲れ様でした！！ (2015年6月29日 0時) (レス) id: 4f30a84575 (このIDを非表示/違反報告)
月奏(プロフ) - areruさん» ありがとうございます！ (2015年6月15日 21時) (レス) id: 1ad6dffea3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月奏 | 作成日時：2015年5月24日 10時
