86:出発 ページ38
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「全く…せっかく貴女の服をお持ちしたというのに」
ゴトーさん…の近くにいるカナリアさんが、丁寧に畳まれた私の服を手に持っていた。
『うわぁあ私の服だ!!てっきり捨てられてたもんだと思ってたのに…!』
「向こうの部屋で着替えてきてください。ドレスは後ほどキキョウ様にお返しいたします」
『うおおさすがアニキ!!ありがとうございます!!』
「服燃やされたいか?」
『すみませんでした着替えてきます』
別室で元の服に着替え、軽く伸びをしながらゴンたちの元へ戻る。ウエストの締め付けも無くなり、まさに解放といった感じだ。
「ドレスも綺麗だったけど、やっぱりそれがAらしいね!」
「アレだと見てるこっちが落ち着かねーしな。…んじゃ、さっさと出発しよーぜ。ここにいるとおふくろがうるせーし」
キルアはそう言うと、ゴトーさんに目を向けた。
「じゃーな!ゴトー。……あ、おふくろに何言われてもついてくんなよ」
「承知しました。いってらっしゃいませ」
ゴトーさんは淡々とした様子で頭を下げる。
私とゴンはそんな彼が気になり、ゴトーさんのそばへ駆け寄った。
「ゴトーさん。キルアがいなくなったら寂しくなるね」
「…いいえ。私供執事は雇用主に対し、特別な感情は持ち合わせておりませんので」
頭を下げたままそう告げるゴトーさんに、ゴンは嘘つき!と舌を出す。かわいいね
『そうですよゴトーさん。寂しくなったら私に連絡くれていいですからね!』
「間違っても貴女だけにはしません」
『あれ』
ゴトーさんはため息をつくと、コインを親指で上に飛ばし、落ちてきたコインを手で掴みとった。
「さあ、どっちです?」
えーと、これは確か…左手に入ったと見せかけて違うんだったっけ
「左手でしょ?」
『ふっ…違うなゴン。答えは"無"…どちらの手にもない!』
名探偵の推理かのように、ビシッとゴトーさんに指を指す。しかしゴトーさんがパッと両手を開くと、コインは右手にあった。やべ、普通に間違えちゃったぜ
「まあそちらの馬鹿はさておき」
『さておかないで』
「世の中正しいことばかりではありません、お気をつけて。……キルア様をよろしくお願いいたします」
また深々と頭を下げるゴトーさんに、少し胸がきゅっとなった。…寂しいのはもちろん、キルアが心配なんだろうな。
『任せてください、定期的にキルアのかわいい写真送りますよ!』
「殺すぞお前」
『やだキルアくんいつの間に』
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温故知新(プロフ) - 柏餅さん» わわ、いつもありがとうございます〜!!🥲💖愛されと逆ハーは永遠です……!!! (4月13日 16時) (レス) id: a95c51921b (このIDを非表示/違反報告)
温故知新(プロフ) - おじいちゃんパンチさん» 本当に一周されたんですか!?!??めちゃめちゃ嬉しいですありがとうございます…!!😭🙏💖コメ主さまこそ優しさの天才です🥲💖💖 (4月13日 16時) (レス) id: a95c51921b (このIDを非表示/違反報告)
柏餅(プロフ) - 夢主ちゃんいろんな人に好かれてるの好きすぎます😭 (4月12日 19時) (レス) id: 55951e8f98 (このIDを非表示/違反報告)
おじいちゃんパンチ - いや!!もう一周してきたけどハンター試験編は温故知新様のが1番面白いな!!天才かよ!!!天才だったな!すんまそんっっ!!! (4月11日 7時) (レス) id: 8e40b31507 (このIDを非表示/違反報告)
温故知新(プロフ) - まめさん» 嬉しい…!😭💘心臓爆発のご報告ありがとうございます!!!(?)カルトちゃんの可愛さや魅力を少しでも書けていましたら、夢書きとしてもオタクとしても大変嬉しいです…! (4月11日 6時) (レス) id: a95c51921b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:温故知新 | 作成日時:2024年2月1日 18時