82：解放 ページ34
・
緊迫した空気を壊したのは、ミルキさんの携帯から鳴り響く着信音だった。
「あ、ママ？うん、うん…え、何で……いや、分かった。……おい、ママがお前と代わりたいって」
『ハ！？むりむりむり、ミルキさん私の声真似してください！』
「できるか！」
ぐりっと頬に携帯を押し付けられ、私は渋々耳に当てる。
『……も、もしも〜…』
「ちょっと貴女！！何してるのよ！？」
『ヴッ…ご、ごめんなさい！料理自体は本当に本当に食べたかったんですけど、私には毒の耐性がないもんでして！あと普通にキルアくんに会いたくて、はい』
「まぁ、あの程度の毒も食べられないの！？しかも貴女もキルの友達って……！……まぁいいわ、大した理由じゃなかったのね」
『……え、もしかして心配してくれ』
「てるわけないでしょう！もう切りますからね！！」
ブチッ！
……無理やり切られてしまった
ま、まあひとまず説明はできてよかったのかな。
次会ったら殺されそうだけど……うん。
重たい気分で携帯をミルキさんに返すと、コンコンとノックの音が聞こえてきた。
「もうそのへんにしとけ、ミル」
扉を開けて入ってきたのは───キルアたちの祖父、ゼノさんだった。服には一日一殺、なんて物騒な言葉が書かれているが、顔はイケオジが過ぎる。
「でもゼノじいちゃん！こいつ全然反省してないんだぜ！！」
「んなこた分かっとる。キル、もう行っていいぞ」
「はーい」
キルアはバキバキと音を立てて自ら手錠や足枷を壊すと、あっという間に自由の身になってしまった。わざと罰を受けてあげていた…ということである。こんなの惚れない方がおかしくない？？？
『……ミルキさん』
「やめろ！肩ポンからの同情をするな！」
キルアはシルバさんに呼ばれているとのことで、父の元へ向かっていった。原作通りにいけば、この後キルアは自由になって外に出られるはず。これでようやく私も自由だ！！！……何事もなければ！
『あっゼノさん、よければ名刺だけいただたりしませんか！？』
「何？殺したい奴がおるのか？」
『いえ、ゼノさんの名刺が欲しいだけです』
「……キルも変な奴を気に入ったのぉ」
ゼノさんはそう言いながらも名刺をくれると、静かに口を開いた。
「…キルを頼んだぞ」
『……』
私、いつかは帰らないといけないんですよね
なんて言葉は……今は飲み込みたくて。
『もちろんです！』と笑顔で頷いて、名刺を胸に抱いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 851人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
温故知新(プロフ) - 柏餅さん» わわ、いつもありがとうございます〜！！🥲💖愛されと逆ハーは永遠です……！！！ (4月13日 16時) (
レス) id: a95c51921b (このIDを非表示/違反報告)
温故知新(プロフ) - おじいちゃんパンチさん» 本当に一周されたんですか！？！？？めちゃめちゃ嬉しいですありがとうございます…！！😭🙏💖コメ主さまこそ優しさの天才です🥲💖💖 (4月13日 16時) (レス) id: a95c51921b (このIDを非表示/違反報告)
柏餅(プロフ) - 夢主ちゃんいろんな人に好かれてるの好きすぎます😭 (4月12日 19時) (レス) id: 55951e8f98 (このIDを非表示/違反報告)
おじいちゃんパンチ - いや！！もう一周してきたけどハンター試験編は温故知新様のが1番面白いな！！天才かよ！！！天才だったな！すんまそんっっ！！！ (4月11日 7時) (レス) id: 8e40b31507 (このIDを非表示/違反報告)
温故知新(プロフ) - まめさん» 嬉しい…！😭💘心臓爆発のご報告ありがとうございます！！！（？）カルトちゃんの可愛さや魅力を少しでも書けていましたら、夢書きとしてもオタクとしても大変嬉しいです…！ (4月11日 6時) (レス) id: a95c51921b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：温故知新 | 作成日時：2024年2月1日 18時
