80:三次元の女 ページ32
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ミルキside
───コンコン
「ミルキ様、ゴトーです。入っても宜しいですか?」
「あ…ああ」
ガチャリ。
開いたドアの先には、ゴトーが眼鏡の鼻当てに指を添えて立っていた。
「ミルキ様。こちらに食パン女…いえ、女性が来ていないですか?」
「はあ?来てるわけないだろ!それより今イイトコなんだから邪魔すんなよな」
オレはPCの画面を指差し、反対の手でしっしっと追い払う。ゴトーは一瞬部屋を気にする素振りを見せ、「…失礼しました」と言い静かに去っていった。ま、十中八九怪しまれてるだろうが。
『…っぷはぁ!ありがとうございます、助かりました!』
オレが適当に被せた布団から女が顔を出し、呑気に笑った。……クソ、久しぶりに三次元の女を見たせいか動揺して匿ってしまった。女を部屋に入れるなんて初めてだし、どうしたらいいんだ。
「お、お前誰だよ!うちの誰かの客人か?そもそも何でゴトーに追いかけられてるんだよ」
『い、いや〜、実は……』
……女の説明によれば、こいつはイルミ兄に連れてこられ、ここでの生活を強いられていたらしい。そんで今日は毒入り料理を出され、流石に逃げてきたとか。
「お前…よく死ななかったな」
『私もそう思う』
にしても、あのイルミ兄がこんな馬鹿っぽい女を連れてくるとは。ま、どうせいつも通り婚約破棄になるんだろーけど……っと、やばい。そろそろ時間だ。
オレはパソコンを操作し、ゲームを閉じて別のタブを開いた。
「オレは今からアニメを見る。嫌なら出てけよ」
OPが始まり、主題歌とともにマイクを持ったアイドルがたくさん現れる。すると、女はバッと布団を飛び出して画面を指差した。
『あーー!!アイシス!!!』
「…!?知ってるのか?」
『もちろんです、ゲームも持ってます!あああそうだよ今日から放送開始じゃん!!!』
姉妹のアイドルをプロデュースするゲーム。アイドルシスター、略してアイシス。去年アニメ化が決定し、今日は1話の放送日だ。まさかアイシスを知っている女がいるとは思わず、柄にもなくテンションが上がる。
うわー、バタバタしてて忘れてたああ!と頭を抱えるその姿は、豪華なドレスとまるで合っていなかった。
「……見せてやってもいいけど」
目線はPCに向けたままそう言えば、女はぱあっと顔を輝かせて隣にやって来た。
……やっぱりこいつ、変だ。
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温故知新(プロフ) - 柏餅さん» わわ、いつもありがとうございます〜!!🥲💖愛されと逆ハーは永遠です……!!! (4月13日 16時) (レス) id: a95c51921b (このIDを非表示/違反報告)
温故知新(プロフ) - おじいちゃんパンチさん» 本当に一周されたんですか!?!??めちゃめちゃ嬉しいですありがとうございます…!!😭🙏💖コメ主さまこそ優しさの天才です🥲💖💖 (4月13日 16時) (レス) id: a95c51921b (このIDを非表示/違反報告)
柏餅(プロフ) - 夢主ちゃんいろんな人に好かれてるの好きすぎます😭 (4月12日 19時) (レス) id: 55951e8f98 (このIDを非表示/違反報告)
おじいちゃんパンチ - いや!!もう一周してきたけどハンター試験編は温故知新様のが1番面白いな!!天才かよ!!!天才だったな!すんまそんっっ!!! (4月11日 7時) (レス) id: 8e40b31507 (このIDを非表示/違反報告)
温故知新(プロフ) - まめさん» 嬉しい…!😭💘心臓爆発のご報告ありがとうございます!!!(?)カルトちゃんの可愛さや魅力を少しでも書けていましたら、夢書きとしてもオタクとしても大変嬉しいです…! (4月11日 6時) (レス) id: a95c51921b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:温故知新 | 作成日時:2024年2月1日 18時