78:料理と毒と逃亡と ページ30
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『あの…キキョウさん、これって…?』
テーブルには、色とりどりの豪勢な料理が並んでいた。
ここに連れて来られてからずっと食パンと水しかいただけねえ生活が続いていたため、こんなちゃんとした料理を見るのは久々である。
「これがゾルディック家の普段の食事です。少しは認めると言いましたからね。貴女も食べていいわ」
『きっ…キキョウさん!』
やだ惚れちゃう……3食食パン生活の3日目あたりから自分の人生にかなり疑問を抱いたけど、そんな生活もこれで報われるんだね……
「よかったね、A」
『はい!』
私の隣にはイルミさん、前にはキキョウさんとカルトちゃんが隣同士で座っている。全員揃ってはいないけど、これがゾルディック家の食事風景か……!
私が『いただきます!』と言って手を合わせると、全員は「何それ???」みたいな顔をした。やっぱりジャパニーズ文化は伝わりにくいか〜
まあ気を取り直して、まずはサラダから食べようか!
オレンジ色の艷やかなドレッシングがかかったレタスにフォークを………刺す直前、私はぴたりと動きを止めた。
ちょっと待て。
キキョウさん、これが"ゾルディック家の普段の食事"って言ってたけど……この料理、まさか
『……あの、イルミさん』
嫌な予感がして、私はイルミさんに小声で話しかけた。
「何?」
『失礼を承知で聞くんですけど……この料理、毒って入ってないですよね?』
「え?入ってるよ」
『………』
私はニッコリ笑顔を浮かべると、フォークをゆっくり上に上げて取り皿の上に置いた。
『すみません、お手洗いお借りしてもいいですか?』
・
『ぜえっ、ぜえっ…こっちの角を曲がれば階段があるはず…!』
さあ始まりましたAちゃんゾルディック家逃亡計画!司会は私、本人が行います。まず計画の概要をご説明しましょう。なんとかして独房を探す→なんとかしてキルアを連れ出す→なんとかして逃げる 以上です!!!
『っだ〜〜〜もうこの家広すぎだろ!!!』
独房、というと地下のイメージがある。まずはひたすら下を目指して、それらしい部屋を探すしか───
「おや、何処へ行くおつもりで?」
ビクッ、と肩を揺らして私は固まった。
恐る恐る後ろを振り返れば、そこには───
「今はお食事の時間のはずでは?……迷子であれば、このゴトーがお連れいたしますが」
ニッコリ。彼は嘘くさい笑顔を浮かべて立っていた。
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温故知新(プロフ) - 柏餅さん» わわ、いつもありがとうございます〜!!🥲💖愛されと逆ハーは永遠です……!!! (4月13日 16時) (レス) id: a95c51921b (このIDを非表示/違反報告)
温故知新(プロフ) - おじいちゃんパンチさん» 本当に一周されたんですか!?!??めちゃめちゃ嬉しいですありがとうございます…!!😭🙏💖コメ主さまこそ優しさの天才です🥲💖💖 (4月13日 16時) (レス) id: a95c51921b (このIDを非表示/違反報告)
柏餅(プロフ) - 夢主ちゃんいろんな人に好かれてるの好きすぎます😭 (4月12日 19時) (レス) id: 55951e8f98 (このIDを非表示/違反報告)
おじいちゃんパンチ - いや!!もう一周してきたけどハンター試験編は温故知新様のが1番面白いな!!天才かよ!!!天才だったな!すんまそんっっ!!! (4月11日 7時) (レス) id: 8e40b31507 (このIDを非表示/違反報告)
温故知新(プロフ) - まめさん» 嬉しい…!😭💘心臓爆発のご報告ありがとうございます!!!(?)カルトちゃんの可愛さや魅力を少しでも書けていましたら、夢書きとしてもオタクとしても大変嬉しいです…! (4月11日 6時) (レス) id: a95c51921b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:温故知新 | 作成日時:2024年2月1日 18時