77:そうはならんやろ ページ29
・
『………うん』
まあ、こうなりますよね。
予想通り扉はビクともせず、キキョウさんのため息が背中越しに聞こえた。あのゴンたちが2週間もかけて開けるドアだぞ。どう考えても自分が開けられるわけない
「イルミ、やっぱり彼女はもう諦め──」
「待って。A、もう一回門に手をつけて」
『えっ?は、はあ』
こうですか?と再び手のひらを門に押しつける。
すると───イルミさんはさらっと私の腰に手を回した。
『!?!???』
「ちょっとイルミ、何して…」
「オレは何もしないよ。まあ、見てて」
イルミさんはさらに後ろから距離をつめてくる。
いやむりむりむりオタクそんな近距離耐えられないって、試しの門どころかあの世の門が開かれるって
『あの、イルミさん。ちょっと距離が、よろしくないといいますか』
「いいから、力入れて」
『えっはい………いや何で!?』
訳が分からないが、とりあえず腕に力を入れる。
すると……イルミさんの顔が肩に乗せられた。
突然のことにぶわっっと汗が噴き出し固まる私に、彼は押して、と耳元で囁く。
その瞬間───私の情緒は爆発した。
『わーーーーーー!??????』
ギィオオオオン…!
紛れもなく私の手により、門は重苦しい音を立てて開いていく。驚いてパッと手を離すと、門は一気に閉まっていった。
『……えっあ、開い…はぁ!?!?』
「ほらね、できたでしょ」
「…イルミ、何をしたの?」
「別に、オレは何もしてないよ。母さんだって見てたでしょ?」
「そう、だけど……」
キキョウさんは信じられないものを見る目で私を見つめる。おそらくキキョウさんは、私が開けるなんて最初から思っていなかったはず。イルミさんに諦めさせるため、私に力がないと知っててわざと連れてきたのだろう。それが……こんな予想外の結果になってしまった。
「……分かったわ。ほんの少しは認めてあげましょう」
『えっ…い、いいんですか?』
「ただし、結婚はまだ認めないわ!あくまでも候補として認めてあげるだけ。結婚を許すかどうかは、今後のAさんの頑張り次第です!イルミ、それでいいわね」
「うん、ありがとう母さん。よかったね、A」
『っはい!!本当によかっ…』
って
『ちがあああああう!!!!!』
「ちょっとうるさいわよ!嬉しいからって奇声をあげるのはやめなさい!」
違うんですお母様。別に嬉しくはないんです。
むしろ今とても困ってるんです
852人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
温故知新(プロフ) - 柏餅さん» わわ、いつもありがとうございます〜!!🥲💖愛されと逆ハーは永遠です……!!! (4月13日 16時) (レス) id: a95c51921b (このIDを非表示/違反報告)
温故知新(プロフ) - おじいちゃんパンチさん» 本当に一周されたんですか!?!??めちゃめちゃ嬉しいですありがとうございます…!!😭🙏💖コメ主さまこそ優しさの天才です🥲💖💖 (4月13日 16時) (レス) id: a95c51921b (このIDを非表示/違反報告)
柏餅(プロフ) - 夢主ちゃんいろんな人に好かれてるの好きすぎます😭 (4月12日 19時) (レス) id: 55951e8f98 (このIDを非表示/違反報告)
おじいちゃんパンチ - いや!!もう一周してきたけどハンター試験編は温故知新様のが1番面白いな!!天才かよ!!!天才だったな!すんまそんっっ!!! (4月11日 7時) (レス) id: 8e40b31507 (このIDを非表示/違反報告)
温故知新(プロフ) - まめさん» 嬉しい…!😭💘心臓爆発のご報告ありがとうございます!!!(?)カルトちゃんの可愛さや魅力を少しでも書けていましたら、夢書きとしてもオタクとしても大変嬉しいです…! (4月11日 6時) (レス) id: a95c51921b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:温故知新 | 作成日時:2024年2月1日 18時