72:説明不足にも程がある ページ24
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バァンッ!!と勢い良くドアが開いた。
お母様……キキョウさんは、ドレスの裾を乱暴に持ちながらズカズカと私目掛けてやって来る。私はただ小動物のように怯えるしかなく、ベッドの隅で震えていた。
「ヒエッ、ど、どうか命だけは……!」
「貴女!!いつ何処でイルミと婚約を交わしたの!?」
『…………はい?』
あれ、今……なんかとても予想外で突飛で信じられないことを言われたような。
「あのイルミがようやく結婚相手を見つけたと一瞬でも喜んだ私が馬鹿だったわ……まさかこんな…こんな平凡そうな女を選んでくるなんて!!!」
『あのちょっと待ってください、婚約なんて交わしても結んでも誓ってもないんですけど』
私の話を聞かず、キキョウさんはヒステリックに嘆いている。ってかカルトちゃんも隣で静かに頷いてるし。可哀想すぎるだろ俺
『と、とにかく落ち着いてください!よく分からないですけど、私はイルミさんと結婚なんかしないですから!何よりご本人が嫌がると思いますし!』
「貴女はさっきから何を言っているの!?その本人が言ったのよ!貴女と結婚するって!!」
『…………は!?!?!』
大混乱の私と嘆きまくる母。
収集がつかなくなると思ったのか、私が爆睡している間に起きた出来事をカルトくんが説明してくれた。
彼の説明によると……私を抱えて連れてきたイルミさんは、キキョウさんに「これ、婚約者。今後は見合い話とか一切受け付けないから」とだけ告げ、仕事へ出掛けてしまったらしい。
いや説明不足にも程があるだろ!!!
ってか仮に婚約してたとして相手を"これ"呼びすることあります???
「ああもう、本当に信じられな……ハッ、もしかして貴女、その見た目は変装で本当は名家の生まれとか?ご両親が素晴らしかったりするの?」
『いえ、ファミレスではしゃぎ散らかすような家です』
「……じゃあ貴女に特別な才能が?」
『えっと、いつ何処でも眠れるのが最近の特技ですね!』
「そう、やっぱり殺すしかないわね」
『いやあああ待ってくださいお母様!!!…か、カルトくんッッ』
涙目でカルトくんの方へ向き、助けて!!!と視線で訴える。彼は呆れたように小さくため息を漏らし、肩をすくめた。
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温故知新(プロフ) - 柏餅さん» わわ、いつもありがとうございます〜!!🥲💖愛されと逆ハーは永遠です……!!! (4月13日 16時) (レス) id: a95c51921b (このIDを非表示/違反報告)
温故知新(プロフ) - おじいちゃんパンチさん» 本当に一周されたんですか!?!??めちゃめちゃ嬉しいですありがとうございます…!!😭🙏💖コメ主さまこそ優しさの天才です🥲💖💖 (4月13日 16時) (レス) id: a95c51921b (このIDを非表示/違反報告)
柏餅(プロフ) - 夢主ちゃんいろんな人に好かれてるの好きすぎます😭 (4月12日 19時) (レス) id: 55951e8f98 (このIDを非表示/違反報告)
おじいちゃんパンチ - いや!!もう一周してきたけどハンター試験編は温故知新様のが1番面白いな!!天才かよ!!!天才だったな!すんまそんっっ!!! (4月11日 7時) (レス) id: 8e40b31507 (このIDを非表示/違反報告)
温故知新(プロフ) - まめさん» 嬉しい…!😭💘心臓爆発のご報告ありがとうございます!!!(?)カルトちゃんの可愛さや魅力を少しでも書けていましたら、夢書きとしてもオタクとしても大変嬉しいです…! (4月11日 6時) (レス) id: a95c51921b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:温故知新 | 作成日時:2024年2月1日 18時